中小企業振興表彰
平成17年度 中小企業振興表彰先
一般部門の表彰先
① 株式会社安藤鉄工建設
代表者 | 安藤 祐一 (62歳) |
---|---|
住所 | 能代市能代町中川原26-706 |
事業内容 | 鉄骨組立加工 |
設立 | 昭和47年12月(創業 昭和21年5月) |
資本金 | 20,000千円 |
従業員数 | 103名 |
年商 | 4,150百万円(17年12月期) |
表彰事由等
同社は、業歴60年の老舗業者であるが、平成3年に東北電力能代火力発電所建設にあたり、鉄骨組立部門を担当し、その技術力を評価されたことを契機に、新日本製鉄から直接受注を得るようになり、業容を順調に伸ばして来た。
全国有数の「三次元鉄骨・鋼管構造物」(曲げにひねりを加えたもの)の製法で、これまで数々の実績を上げており、業界やユーザーから高い評価を得ている。また、鉄骨溶接に関する技術は国内屈指のレベルで、17年12月には国交省大臣認定のSグレード(従来のHグレードより上の最上位)を取得。今後一段の成長が見込まれる。
とくに、2002年ワールドカップの大型スタジアム建設の半数(札幌、埼玉、静岡スタジアムなど)にかかわった実績を買われ、近年は工事のほとんどが首都圏を中心に県外市場である。いわば、県外からお金を稼いでこれる数少ない県内企業である。
技術水準のみならず、営業戦略においてはCM方式(コンストラクション・マネージメント)の受発注を強く展望するなど、同社の新時代に即応した経営と地域貢献を高く評価し表彰する。
② ナガハマコーヒー株式会社
代表者 | 長濱 實 (57歳) |
---|---|
住所 | 大仙市大曲栄町13-68 |
事業内容 | コーヒー製造・オフィスコーヒー販売、飲食店経営 |
設立 | 昭和62年4月(創業 昭和58年4月) |
資本金 | 20,000千円 |
従業員数 | 47名(ほかにパート50名) |
年商 | 447百万円(18年3月期) |
表彰事由等
同社は、昭和58年に長濱規加子氏(現専務)が創業(昭和62年4月法人化)。最初は県内事業所向けのドリップ(滴下式)コーヒーの宅配や結婚式場・宴会場への納入が中心であった。
その後、秋田市において焙煎工場の建設(平成8年)やカフェ事業(広面、山王、秋田駅前、外旭川の4か店)に進出する中で、ナガハマブレンドなどのオリジナル・コーヒーブランドを確立し、一方では会員獲得にも注力しながら、業容を拡大している注目企業である。
同社の積極的、革新的な経営が平成17年度「秋田県経営革新フェニックスプラン21」に認定され、これが地元食材を活用した商品の開発・販売(自家製のイタリアンジェラートとパスタ)に結びつき売上に寄与している。また平成17年1月には「秋田県働く女性支援優良企業、キャリアアップ部門特別賞」を受賞している。 (①社員47人の80%は女性 ②管理職12人中10名が女性 ③カフェ全4店のチーフ(店長)は全部女性)。
また、地域の観光・物産振興の一環として、山の手ホテル、鶴の湯温泉、妙乃湯温泉にオリジナルコーヒーを提供している。
従来の喫茶店が衰退している県内において、ニッチなコーヒー飲食ビジネスを通じて、地域振興と雇用促進に貢献している同社のユニークな経営戦略を高く評価し表彰する。
③ インスペック株式会社
代表者 | 代表取締役社長 菅原 雅史 (52歳) |
---|---|
住所 | 秋田県仙北市角館町雲然荒屋敷79‐1 |
事業内容 | 半導体及びIT関連デバイスの光学式外観検査装置製造 |
設立 | 昭和63年5月(創業 昭和59年1月、創業時の社名は太洋製作所) |
資本金 | 708,849千円(18年3月) |
従業員数 | 65名 |
年商 | 2,031百万円(18年4月期) |
表彰事由等
当社は昭和59年に創業、当初はカセットテープレコーダー用磁気ヘッド組立で事業を開始し、省力化機械、自動組立機械、産業用ロボットなどに進出した。
主力としていたコネクター検査装置の技術を活かし、リードフレーム検査装置の開発に成功、平成9年から販売しており、平成12年にはリードフレーム検査装置用画像システム「inspec Ⅰ」を開発した。その後、検査装置用画像システムの開発を続け、平成14年にはテープ検査装置用画像処理内製コンピューター「inspec Ⅱ」を、平成17年には液晶TFTアレイ検査装置用内製コンピューター「inspec Ⅲ」を開発している。
この間、平成13年には名古屋オフィス(小牧市、平成16年に春日井市に移転)、平成15年に東京オフィスを開設している。
当社は、機械技術(メカトロ)と画像処理技術、光学技術を組み合わせた、光学外観検査の分野では最先端の技術を有する企業として、業界では有名な企業である。今般、東証マザーズへの上場が承認されたが、本県の企業の東証への上場は、6年ぶり4社目である。
本県は上場企業が少なく、本県経済振興のためにも多くの企業が上場を目指すことには、大きな意義がある。よって、東証マザーズ上場が決まった当社を表彰する。
新起事業激励賞の表彰先
④ 株式会社セーコン
代表者 | 今 東久雄 (66歳) |
---|---|
住所 | 大仙市神宮寺字八石高野90-1(メディカル工場) |
事業内容 | プラスチック成形、金型設計製造 |
設立 | 昭和59年4月(創業 昭和47年10月) |
資本金 | 10,000千円 |
従業員数 | 45名 |
年商 | 399百万円(18年3月期) |
表彰事由等
同社は、昭和57年に旧神岡町に横浜市から工場を移設し、医療用部品、自動車用部品、OA機器用部品、錠前などを製造している。
産学官連携を活用した社内新起事業として次の2点の注目される成果を上げている。
① テーラーメード医療向け臨床DNAチップの製造技術開発。
経済産業省の地域新生コンソーシアム研究開発事業(15年度~現在進行中)として、秋田県工業技術センターとニプロ㈱が主導し、それに同社や小林工業㈱など数社が共同参画している。具体的には「骨粗しょう症」用に限定した安価な検査器具としてのDNAチップの開発と解析装置(1台100万円を目標)の開発に共同で取り組んでいる。同社は樹脂部門の技術で基板を担当し、チップはすでに完成している。
② 生分解性プラスチックの玉皮開発に成功。
秋田県工業技術センターや小松煙火工業と共同で、生分解性プラスチック(トウモロコシ等を原料)を使用した打上げ花火の玉皮の開発に成功。現在B.E.S.Tシリーズとして「大曲の花火」において一部使用され実用段階でも好評を得ている。17年8月には、この成果が評価され、経済産業省の「第1回ものづくり大賞優秀賞」を受賞した(東北では6先)。環境配慮が求められる時代となり、地中のバクテリアによって分解され有害物質を残さない生分解性プラスチックの応用は、これからも他方面で増加するものと期待される。
同社の環境に配慮したモノづくりと地域貢献への積極的な取り組み姿勢を高く評価し、新起事業激励賞として表彰する。