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県内経済(8月号)

概況県内経済は、持ち直しの動きが続いている

 電子部品、木材の生産は堅調に推移しているほか、機械金属も持ち直している。建設は、住宅着工が前年を下回ったが、公共工事は堅調に推移している。個人消費は持ち直しの動きが足踏みしている。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種では人手不足が深刻化している。

 産業別の動向では、電子部品の生産額は、スマートフォン向けが減少傾向にあるものの、車載向けは拡大しており、6か月連続で前年を上回った。機械金属の生産額は、輸送機械で北米向けの自動車部品が増勢を強めるなど、3か月連続で前年を上回った。木材は普通合板(5月)の生産量が14か月連続で前年を上回り堅調に推移しているが、荷動きはやや鈍化している。公共工事請負額は3か月連続で増加し、年度累計でも前年度を上回って推移している。地元大手(12社)の建設受注額は、官公庁工事、民間工事ともに振るわず、2か月ぶりに減少した。住宅着工は2か月ぶりに前年を下回った。個人消費は、百貨店・スーパー販売額(5月)が18か月連続で前年割れが続いているほか、新車販売台数および家電販売額(5月)も前年を下回り、全体として持ち直しの動きが足踏みしている。
 有効求人倍率は前月と同水準の1.51倍であった。新規求人数は前年比9.8%増となり、11か月連続で増加した。事業主都合離職者数は2か月連続で前年を下回った。
 企業倒産件数は1件、負債総額は1,800万円であった。倒産件数は平成24年11月以降、一桁台での推移が続いている。

電子部品生産額、高水準を維持

 6月の生産額は前年比1.7%増と6か月連続で前年実績を上回った。スマートフォン向けは中国市場の販売低迷により減少しているものの、車載向けはEV化や先進運転支援システム(ADAS)などに関連した需要が拡大しており、全体では高水準を維持している。品目別では、主力のセラミック・コンデンサやインダクタは堅調に推移しており、半導体素子も増勢が続いている。一方、産業機器向けの液晶パネルは横這いとなっている。

機械金属生産額、3か月連続で前年を上回る

 6月の生産額は前年比2.5%増と3か月連続で前年実績を上回った。ウエイトの高い輸送機械では、自動車部品は国内向けがやや伸び悩んでいるものの、北米向けが増勢を強めていることから生産額は増加しており、全体の水準を押し上げている。
 輸送機械以外の民需関連では、製鋼品は減少が続いているものの、建機部品は国内外の需要増の影響を受け堅調に推移している。金型は好調な設備投資を背景に前年対比大幅増の生産が続いている。公共工事関連では、水道部品は増勢が続いているが、橋梁・鉄骨は一進一退の動きとなっている。

木材業普通合板、製材品とも荷動き低調

 全国的に、新設住宅着工戸数が伸び悩み、普通合板、製材品とも荷動きが低調な中、生産はほぼ前年水準を持続しており、在庫が増加傾向にある。県内においても、普通合板、製材品ともに生産量が出荷量を上回り、同様の動きが窺える。
 5月の普通合板は、生産量が前年比2.4%増と14か月連続で前年実績を上回ったものの、伸び率は低率にとどまり、出荷量は同2.5%減と2か月連続で前年実績を下回った。その結果、在庫量は同48.3%増と11か月連続で前年比増加した。
 6月の製材品は、生産量が前年比4.3%減と2か月ぶりに、出荷量は同8.7%減と3か月連続で、ともに前年を下回った。

酒造業出荷量、8か月連続で前年比減少

 6月の清酒出荷量は、前年比4.1%減と8か月連続で前年実績を下回った。前年同月に改正酒税法施行の影響から大幅に落ち込んだため、前年比減少幅は前月よりも縮小したものの、出荷量は停滞感を強めている。出荷先別では、県内向けは同3.5%増と幾分持ち直したが、県外向けが同7.9%減と振るわず全体を押し下げた。県外の主な出荷先別では、北海道が同4.2%減となったほか、東京と東北5県はともに同10.5%減と二桁の減少率となった。種類別では普通酒が同6.8%減となったほか、特定名称酒も同0.7%減と平成29年7月以来11か月ぶりに前年を下回った。

県内向け出荷量 474kl
県外向け出荷量 870kl
合計出荷量前年比 ▲4.1%

建設業公共工事 国、県、市町村が増加し、3か月連続で前年比増加

 6月の公共工事請負金額は、国、県、市町村が揃って増加し、前年比88.8%増と3か月連続で前年を上回った。年度累計でも前年同期比42.9%増と堅調に推移している。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の6月の新規受注額は、前年比38.2%減の2,334百万円と2か月ぶりに前年を下回った。うち民間工事は、土木、建築とも振るわず同80.9%減と前年実績を大きく下回った。官公庁工事も、河川災害復旧等の大口受注があったものの、前年実績には及ばず同6.7%減となった。これにより、年度累計の受注実績でも前年同期比13.1%減とマイナスに転じた。

金融貸出金、伸び率は前月から横這い

 6月末の県内銀行の預金は、前月末比650億円増加し、前年比でも3.8%の増加となった。貸出金は、前月末比82億円減少したが、前年比では0.7%の増加となった。預金、貸出金とも引き続き前年を上回って推移しているが、預金の伸び率が前月より拡大した一方、貸出金の伸び率は横這いだった。
 6月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は1件(前年比4件減)、負債総額は1,800万円(同96.2%減)で、ともに6月としては昭和46年の集計開始以来最少となった。なお、上半期(1~6月)の倒産件数は23件(前年同期比8件減)、負債総額は70億600万円(同183.0%増)となった。

住宅着工着工戸数、2か月ぶりに前年比減少

 6月の県内新設住宅着工戸数は、371戸(前年比13戸減、3.4%減)であった。貸家は増加したものの、主力である持家のほか、分譲住宅、給与住宅が減少したため、2か月ぶりに前年を下回った。
 利用関係別では、持家が246戸(前年比3戸減)、貸家が101戸(同12戸増)、分譲住宅が23戸(同7戸減)、給与住宅が1戸(同15戸減)となっている。
 持家は需要が伸び悩み、3か月ぶりに前年を下回った。貸家は秋田市、鹿角市、湯沢市で一般向け賃貸住宅が増加し、4か月ぶりに前年を上回った。分譲住宅は2か月連続で前年を下回った。
 地域別では、持家と貸家の着工が増加した県央のみが、前年を上回った。県北と県南は持家と分譲住宅が減少し、前年を下回った。

商況持ち直しの動きが足踏みしている

 5月の百貨店・スーパー販売額は、前年比1.7%減の95億4,200万円となった。衣料品は、紳士服・婦人服ともに低調に推移し、8か月連続で前年を下回った。飲食料品も、鮮魚や精肉、青果などが振るわず、2か月連続で前年を下回った。
 6月の新車総販売台数は、前年比4.3%減の4,411台となり、5か月ぶりに前年を下回った。登録車は、新車投入効果の薄れもあり、一部小型車を中心に伸び悩んだことから、同3.9%減の2,347台と2か月ぶりに前年を下回った。軽自動車も、乗用車およびトラックの落ち込みにより、同4.7%減の2,064台と2か月連続で前年を下回った。
 5月の家電販売額は、前年比5.1%減となった。テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電が増加したものの、パソコンなどの情報機器が振るわず、2か月連続で前年を下回った。

衣類・繊維生産額、4か月連続で前年比増加

 6月の生産額は、前年比21.3%増となった。紳士服は横這いとなったものの、婦人服を中心に増加し、4か月連続で前年を上回った。
 受注も、夏物から秋冬物への切り替えが本格化しており、4か月連続で前年を上回った。

雇用有効求人倍率は1.51倍、高水準続く

 6月の有効求人倍率は、前月比横這いの1.51倍となり、高水準が続いている。常用の内訳では、一般は前月比0.05ポイント上昇の1.32倍、パートは同0.01ポイント低下の1.35倍となった。
 新規求人数は前年比9.8%増となり、11か月連続で前年を上回った。産業別にみると、製造業は同6.0%増となった。「情報通信機械」、「食料品」などで減少したものの、「木材・木製品」、「電子部品・デバイス・電子回路」、「繊維」で増加した。非製造業は同10.3%増となった。「生活関連サービス,娯楽」、「卸売,小売」で減少したものの、「宿泊,飲食サービス」では、全国チェーンの飲食店から大口の求人があり大幅に増加したほか、人手不足が続く「運輸,郵便」、「サービス」などでも二桁の増加率となった。
 新規求職者数は前年比8.9%減と、2か月連続で前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比18.4%減となり、2か月連続で前年を下回った。
 地域別雇用状況(パートを含む常用)をみると、新規求人数は県南で減少したものの、県北、県央で増加した。有効求人倍率は県北が最も高く1.61倍、県南が1.32倍、県央が1.23倍となった。

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