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県内経済(6月号)

概況県内経済は、持ち直しの動きが続いている

 電子部品、木材の生産は堅調に推移しているほか、機械金属も持ち直している。建設は、住宅着工が前年を下回ったが、公共工事は底堅く推移している。個人消費は弱いながらも持ち直しの動きがみられる。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種では人手不足が深刻化している。
 産業別の動向では、電子部品の生産額は、スマートフォン向けが減少傾向にあるものの、車載向けは増勢を強めており、4か月連続で前年を上回った。機械金属の生産額は、輸送機械で北米向けの自動車部品が増勢を保つなど、4か月ぶりに前年を上回った。木材は普通合板(3月)が生産量、出荷量ともに12か月連続で前年を上回り、堅調に推移している。公共工事請負額は5か月ぶりに前年を上回り、底堅く推移している。地元大手(12社)の建設受注額は、官公庁工事で大口受注があったものの、民間工事が振るわず、2か月ぶりに減少した。住宅着工は5か月連続で前年を下回った。個人消費は、百貨店・スーパー販売額(3月)が前年を下回ったが、新車販売台数および家電販売額(3月)が前年を上回り、全体として弱いながらも持ち直しの動きがみられる。
 有効求人倍率は前月比0.01ポイント上昇し、全国平均を上回る過去最高の1.60倍となった。新規求人数は前年比9.1%増となり、9か月連続で増加した。事業主都合離職者数は2か月連続で前年を上回った。
 企業倒産件数は2件、負債総額は8,500万円であった。

電子部品生産額、4か月連続で前年を上回る

 4月の生産額は前年比1.8%増と4か月連続で前年実績を上回った。スマートフォン向けは減少傾向が続いているものの、車載向けが増勢を強めており、生産額としては高めの水準を保っている。品目別では、主力のセラミック・コンデンサやインダクタは横這い傾向にあるものの、半導体素子は増勢が続いている。産業機器向けの液晶パネルにも持ち直しの動きがみられる。

機械金属生産額、4か月ぶりに前年比増加

 4月の生産額は前年比4.6%増と4か月ぶりに前年実績を上回り、高水準となった。
 ウエイトの高い輸送機械において、北米向け自動車部品の生産が増勢を保っているほか、国内向けも持ち直し基調にあることが、全体の水準押し上げに寄与している。
 輸送機械以外の民需関連では、製鋼品は低調な生産が続いており、建機部品も伸び悩んでいるものの、金型は設備投資の増加にともない前年比大幅増の生産が続いている。公共工事関連では、水道部品は堅調に推移しているが、橋梁・鉄骨は一進一退の動きとなっている。

木材業製材品は再び前年割れ

 全国的には、新設住宅着工需要の停滞感が強まる中、普通合板、製材品とも荷動きは低調で、前年実績を下回る。一方、県内においては、普通合板が減速しつつも前年比プラスを維持する傍ら、製材品は再び前年割れに転じている。
 3月の普通合板は、生産量が前年比9.9%増、出荷量も同10.9%増と、ともに12か月連続で前年実績を上回ったが、伸び率は前月から大幅に減速した。在庫量は、同33.4%増と9か月連続で前年比増加した。
 4月の製材品は、生産量が前年比4.8%減、出荷量も同9.5%減と、いずれも2か月ぶりに前年比マイナスとなった。

酒造業出荷量、6か月連続で前年比減少

 4月の清酒出荷量は、県内向けが前年比5.5%減、県外向けも同6.0%減となり、全体では同5.8%減と6か月連続で前年を下回った。県外の主な出荷先別では、東京が同10.3%減、北海道と東北5県はともに同3.7%減と、いずれも前年を下回った。種類別では、特定名称酒が同7.3%増となったものの、普通酒は同14.2%減と二桁の減少率となった。
 平成29年度全国新酒鑑評会で、本県から出品された清酒18点が入賞し、このうち金賞数は13点で全国4位となった。前年と比べて、金賞数は16点から3点減少し、全国順位も3位から順位を落としたが、高水準を維持した。

県内向け出荷量 593kl
県外向け出荷量 1,144kl
合計出荷量前年比 ▲5.8%

建設業公共工事 国、県、市町村が増加し、5か月ぶりに前年比増加

 4月の公共工事請負金額は、地方独立行政法人等が減少したものの、国、県、市町村が増加し、前年比19.9%増と5か月ぶりに前年を上回った。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の4月の新規受注額は、前年比10.3%減の1,620百万円と2か月ぶりに前年を下回った。うち官公庁工事は、道路の維持補修工事や橋梁の災害復旧工事、県外の復興道路工事等、土木の大口受注があり、同859.8%増と前年を大幅に上回ったものの、民間工事は、土木、建築とも前年実績を下回り、同59.7%減と振るわなかった。

金融預金、貸出金ともに前年比増加が続く

 4月末の県内銀行の預金は、前月末比223億円減少したが、前年比では2.9%の増加となった。貸出金も、前月末比71億円減少したが、前年比では0.8%の増加となった。預金、貸出金ともに前年を上回って推移しているものの、伸び率は前月に比べ鈍化した。
 4月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は2件(前年比2件減)、負債総額は8,500万円(同58.9%減)となった。倒産件数は平成24年11月以降66か月連続一桁台で推移しており、小康状態が続いている。負債総額も、小口倒産のみであったことから前年同月との対比で大幅に減少した。

住宅着工着工戸数、前年比減少幅が縮小

 4月の県内新設住宅着工戸数は、324戸(前年比20戸減、5.8%減)と、5か月連続で前年を下回った。貸家は大きく減少したものの、持家と分譲住宅が増加したため、前年比減少幅は前月に比べて縮小した。
 利用関係別では、持家が261戸(前年比24戸増)、貸家が22戸(同61戸減)、分譲住宅が41戸(同18戸増)、給与住宅が0戸(同1戸減)となっている。 
 持家は4か月ぶりに前年を上回った。貸家は民間の一般向け賃貸住宅が大幅に減少したほか、公営住宅も減少し、2か月連続で前年を下回った。分譲住宅は小規模戸建が増加し、2か月連続で前年を上回った。
 地域別では、県央は貸家、県南は持家と貸家が減少し、いずれも前年を下回った。県北は前年比横這いとなった。

商況弱いながらも持ち直しの動き

 3月の百貨店・スーパー販売額は、前年比0.4%減の96億8,600万円となった。衣料品は、紳士服・婦人服ともに低調に推移し、6か月連続で前年を下回った。飲食料品は、鮮魚や惣菜などが振るわなかったものの、全体では増加し2か月連続で前年を上回った。
 4月の新車総販売台数は、前年比1.9%増の3,721台となり、3か月連続で前年を上回った。登録車は、一部小型車で伸び悩んだほか、特殊用途車などの落ち込みもあり、同1.9%減の1,866台と2か月ぶりに前年を下回った。軽自動車は、乗用車、バン、トラックともに増加し、同6.0%増の1,855台と5か月連続で前年を上回った。
 3月の家電販売額は、前年比0.3%増となった。パソコンなどの情報機器が振るわなかったものの、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電が増加し、2か月ぶりに前年を上回った。

衣類・繊維生産額、2か月連続で前年比増加

 4月の生産額は前年比15.1%増となった。夏物の生産がピークを迎え、アイテムによりばらつきはあるものの婦人服を中心に増加し、2か月連続で前年を上回った。
 受注も、2か月連続で前年を上回ったが、人手不足等により今後の生産体制について不安視する声も出されている。

雇用有効求人倍率は過去最高の1.60倍

 4月の有効求人倍率は、前月比0.01ポイント上昇の1.60倍と過去最高を更新し、17年10か月ぶりに全国平均(1.59倍)を上回った。常用の内訳では、一般は前月比0.02ポイント低下の1.24倍、パートは同0.26ポイント低下の1.41倍となった。
 新規求人数は前年比9.1%増となり、9か月連続で前年を上回った。産業別にみると、製造業は同11.5%増となった。「電気機械器具」で減少したものの、「情報通信機械」で大幅に増加したほか、「食料品」、「木材・木製品」、「繊維」で二桁の増加率となった。非製造業も同8.8%増となった。「運輸,郵便」で減少したが、人手不足が続く「医療,福祉」、「サービス」、「生活関連サービス,娯楽」で二桁の増加率となったほか、その他の業種でも増加した。
 新規求職者数は前年比0.9%増と、4か月ぶりに前年を上回った。
 事業主都合離職者数は、前年比29.4%増となり、2か月連続で前年を上回った。
 地域別雇用状況(パートを含む常用)をみると、新規求人数は県北、県央、県南の全地域で増加した。有効求人倍率は県北が最も高く1.47倍、県央および県南が1.25倍となった。

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