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県内経済(5月号)

概況県内経済は、持ち直しの動きが続いている

 電子部品の生産はやや弱含んでいるが、機械金属は持ち直しの動きとなっているほか、木材も堅調に推移している。建設は、住宅着工が前年を下回ったが、公共工事は底堅く推移している。個人消費は弱いながらも持ち直しの動きがみられる。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種では人手不足感が拡大している。
 産業別の動向では、電子部品の生産額は、スマートフォン向けが減少傾向を強め、前月対比では3か月連続で減少した。機械金属の生産額は、輸送機械で国内向けの自動車部品に持ち直しの動きが出てきたことなどから、前月対比では大幅に増加した。木材は普通合板(1月)が生産量、出荷量ともに10か月連続で前年を上回った。公共工事請負額は3か月連続で減少したが、年度累計では前年度を上回り、底堅く推移している。地元大手(12社)の建設受注額は、官公庁工事が前年の大口受注の反動から落ち込み、2か月連続で減少した。住宅着工は3か月連続で前年を下回った。個人消費は、百貨店・スーパー販売額(1月)が前年を下回ったものの、新車販売台数および家電販売額(1月)が前年を上回り、全体として弱いながらも持ち直しの動きがみられる。
 有効求人倍率は前月比0.02ポイント低下し1.48倍となった。新規求人数は前年比7.3%増となり、7か月連続で増加した。事業主都合離職者数は5か月連続で前年を下回った。
 企業倒産件数は4件、負債総額は5億3,700万円であった。

電子部品生産額、3か月ぶりに前年比減少

 3月の生産額は前年比0.3%減と3か月ぶりに前年実績を下回った。自動運転やEV化が進む自動車関連は依然好調を保っているものの、スマートフォン向けは北米大手メーカーの高級モデルの販売不振や中国市場の減速の影響により、減少傾向となっている。
 品目別では、半導体素子は堅調に推移しているものの、主力のセラミック・コンデンサやインダクタでは減少が続いている。一方、産業機器向けの液晶パネルは増勢を強めている。

機械金属生産額、前月対比大幅増加

 3月の生産額は、高水準だった前年同月対比では3.9%減となったものの、前月対比では2か月連続で大幅に増加した。
 ウエイトの高い輸送機械において、海外向けの自動車部品が依然として好調なことに加え、国内向けも増加傾向にあることから増加した。
 輸送機械以外の民需関連では、製鋼品は減少傾向にあるものの、建機部品は持ち直しの動きがみられる。金型は設備投の増加にともない増勢を強めている。公共工事関連では、水道部品は堅調に推移しており、橋梁・鉄骨は下げ止まり傾向にある。

木材業製材品に持ち直しの兆し

 全国的には、新設住宅着工件数の減少傾向が続く中、年度の端境期を迎えて非住宅物件も一服し、普通合板、製材品とも需要は弱含んでいる。一方、県内においては、普通合板が堅調を維持する傍ら、製材品にも持ち直しの兆しが見られる。
 2月の普通合板は、生産量が前年比35.5%増、出荷量も同33.1%増と、ともに11か月連続で前年実績を上回り、伸び率も昨年8月以降7か月連続で二桁台が続いている。在庫量も、同42.5%増と8か月連続で前年比増加した。
 3月の製材品は、生産量が16か月ぶり、出荷量も15か月ぶりに、前年比マイナスを脱し、いずれも横這いとなった。

酒造業出荷量、前年比減少幅が拡大

 3月の清酒出荷量は、県内向けが前年比1.9%減、県外向けも同13.7%減となり、全体では同10.1%減と5か月連続で前年を下回った。主力である普通酒が県外向けを中心に落ち込んだため、減少幅は前月よりも拡大した。県外の主な出荷先別では、東京が同16.3%減、東北5県は同13.4%減、北海道も同14.1%減と、いずれも前年を大きく下回った。
 清酒の種類別では、特定名称酒が前年比0.9%増となった一方で、普通酒は同16.6%減と二桁の減少率となった。特定名称酒の内訳では、吟醸酒が同4.3%減、本醸造酒が同1.8%減と減少したものの、純米酒が同9.5%増と増加した。

県内向け出荷量 552kl
県外向け出荷量 1,1261kl
合計出荷量前年比 ▲10.1%

建設業公共工事 国と市町村が減少し、4か月連続で前年比減少

 3月の公共工事請負金額は、国と市町村が減少し、前年比16.6%減と4か月連続で前年を下回った。ただし、29年度計では前年度比1.7%増と前年度実績を小幅上回った。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の3月の新規受注額は、前年比25.3%増の6,888百万円と4か月ぶりに前年を上回った。うち民間工事は、同37.1%減と前年を下回ったものの、官公庁工事は、道路や港湾関連等の大口受注があったほか河川災害復旧工事も加わり、同46.3%増と大幅に増加した。29年度計の受注実績でも、前月までの前年割れから一転、前年度比2.0%増と増加に転じた。

金融預金、貸出金ともに前年比増加率が拡大

 3月末の県内銀行の預金は、前月末比1,197億円増加し、前年比でも3.8%の増加となった。貸出金は、前月末比80億円増加し、前年比でも1.3%の増加となった。預金、貸出金とも引き続き前年を上回って推移しており、伸び率も前月に比べ拡大した。
 3月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は6件(前年比横這い)、負債総額は13億8,800万円(同375.3%増)となった。倒産件数は平成24年11月以降65か月連続一桁台で推移しており、小康状態が続いている。負債総額は、能代市の木材・木製品製造業者の負債額10億円が押し上げた。

住宅着工着工戸数、4か月連続で前年比減少

 3月の県内新設住宅着工戸数は、280戸(前年比42戸減、13.0%減)と、4か月連続で前年を下回った。分譲住宅は増加したものの、主力の持家、貸家とも前年比二桁の減少率となった。
 利用関係別では、持家が210戸(前年比33戸減)、貸家が27戸(同26戸減)、分譲住宅が42戸(同17戸増)、給与住宅が1戸(同横這い)となっている。
 持家は需要が伸び悩み、3か月連続で前年を下回った。貸家も秋田市で民間の一般向け賃貸住宅が大幅に減少し、2か月ぶりに前年を下回った。分譲住宅は小規模戸建が増加し、2か月ぶりに前年を上回った。
 地域別では、持家、貸家、分譲住宅が増加した県北のみが、前年を上回った。県央は持家と貸家、県南は持家、貸家、分譲住宅の着工が各々減少し、前年を下回った。

商況持ち直しの動きが足踏みしている

 2月の百貨店・スーパー販売額は、前年比1.3%減の85億8,000万円となった。
飲食料品は、青果物の相場高による単価上昇の影響もあり、2か月ぶりに前年を上回ったものの、衣料品が紳士服・婦人服ともに低調に推移したほか、その他の家庭用品等も振るわず、前年を大幅に下回った。
 3月の新車総販売台数は、前年比1.9%増の7,312台となり、2か月連続で前年を上回った。登録車は、新車投入効果の薄れなどから、一部小型車で伸び悩んだものの、全体では同0.6%増の4,118台と5か月ぶりに前年を上回った。軽自動車は、乗用車、バン、トラックともに増加し、同3.7%増の3,194台と4か月連続で前年を上回った。
 2月の家電販売額は、前年比4.1%減となった。テレビ、ブルーレイなどの録画機、洗濯機が増加したものの、冷蔵庫、パソコンなどの情報機器が振るわず、4か月ぶりに前年を下回った。

衣類・繊維生産額、2か月ぶりに前年比増加

 3月の生産額は前年比4.0%増となった。春夏物の生産が終盤に差し掛かるなか、一部婦人服の追加生産もあり、2か月ぶりに前年を上回った。
 受注も、小ロット化傾向にはあるものの、婦人服を中心に増加し、2か月ぶりに前年を上回った。

雇用有効求人倍率は過去最高の1.59倍

 3月の有効求人倍率は前月比0.11ポイント上昇の1.59倍で、過去最高を更新した。1倍台は39か月連続となり高水準が続いている。常用の内訳では、一般は前月比0.03ポイント低下の1.26倍、パートは同0.06ポイント上昇の1.67倍となった。
 新規求人数は前年比10.4%増となり、8か月連続で前年を上回った。産業別にみると、製造業は同4.8%減となった。「繊維」で増加したものの、昨年同時期に多数の求人があった反動から「情報通信機械」、「食料品」など多くの業種で減少した。非製造業は同12.3%増となった。「宿泊,飲食サービス」では、県内外で飲食店を展開する企業から多数の求人があり大幅に増加したほか、人手不足が続く「運輸,郵便」、「サービス」などでも二桁の増加率となった。
 新規求職者数は前年比10.5%減と、3か月連続で前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比9.4%増となり、6か月ぶりに前年を上回った。
 地域別雇用状況(パートを含む常用)をみると、新規求人数は県北、県央、県南の全地域で増加した。有効求人倍率は県北が最も高く1.59倍、県央が1.36倍、県南が1.28倍となった。

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