機関誌「あきた経済」
県内経済（4月号）
県内経済は、持ち直しの動きが続いている
電子部品の生産はやや弱含んでいるが、機械金属は持ち直しの動きとなっているほか、木材も堅調に推移している。建設は、住宅着工が前年を下回ったが、公共工事は底堅く推移している。個人消費は弱いながらも持ち直しの動きがみられる。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種では人手不足感が拡大している。
産業別の動向では、電子部品の生産額は、スマートフォン向けが減少傾向を強め、前月対比では３か月連続で減少した。機械金属の生産額は、輸送機械で国内向けの自動車部品に持ち直しの動きが出てきたことなどから、前月対比では大幅に増加した。木材は普通合板（１月）が生産量、出荷量ともに10か月連続で前年を上回った。公共工事請負額は３か月連続で減少したが、年度累計では前年度を上回り、底堅く推移している。地元大手（12社）の建設受注額は、官公庁工事が前年の大口受注の反動から落ち込み、２か月連続で減少した。住宅着工は３か月連続で前年を下回った。個人消費は、百貨店・スーパー販売額（１月）が前年を下回ったものの、新車販売台数および家電販売額（１月）が前年を上回り、全体として弱いながらも持ち直しの動きがみられる。
有効求人倍率は前月比0.02ポイント低下し1.48倍となった。新規求人数は前年比7.3％増となり、７か月連続で増加した。事業主都合離職者数は５か月連続で前年を下回った。
企業倒産件数は４件、負債総額は５億3,700万円であった。
生産額、前月対比３か月連続で減少
２月の生産額は、低水準だった前年同月対比では0.8％増となったものの、前月対比では３か月連続の減少となった。車載向けは堅調に推移しているものの、大手スマートフォンメーカーの最新型の販売が低迷している影響からスマートフォン向けが減少傾向を強めている。
車載向けの半導体素子や産業機器向けの液晶パネルは増加傾向となっているものの、セラミック・コンデンサやインダクタでは減少が続いている。
生産額、前月対比大幅増加
2月の生産額は、前年対比では横這いだったものの、前月対比では大幅に増加し高水準となった。
ウエイトの高い輸送機械において、国内向けの自動車部品で持ち直しの動きが出てきたことに加え、北米向けが増勢を強めていることから生産額が増加した。
輸送機械以外の民需関連では、製鋼品は堅調に推移しているものの、建機部品は減少傾向となっている。金型は設備投資が上向きになってきている影響等から持ち直しの動きがみられる。公共工事関連では、水道部品で増勢が続いているものの、橋梁・鉄骨は減少傾向が続いている。
普通合板と製材品の明暗が顕著
全国的に、新設住宅着工件数が伸び悩む中、不需要期に加え大雪も影響し、製材品は生産、荷動きとも弱含んでいるが、普通合板は非住宅需要も加わり堅調を維持している。県内においては、普通合板と製材品の明暗がより顕著となっている。
１月の普通合板は、生産量が前年比30.8％増、出荷量も同32.1％増と、ともに10か月連続で前年実績を上回り、伸び率も８月以降６か月連続で二桁台が続いている。在庫量も、同37.4％増と７か月連続で前年比増加した。
２月の製材品は、生産量が前年比11.1％減と15か月連続、出荷量も同16.7％減と14か月連続で、前年実績を下回った。
出荷量、４か月連続で前年比減少
２月の清酒出荷量は、前年比5.0％減と４か月連続で前年を下回った。出荷先別では、県内向けは同3.6％減、県外向けも同5.6％減とともに減少した。県外の主な出荷先別では、東京が同4.8％減、東北５県は同7.3％減、北海道も同21.9％減と、いずれも前年を下回った。清酒の種類別では、特定名称酒は同2.8％増と増加したものの、普通酒が同9.3％減と大きく減少した。
県は民間企業や大学などと連携し、清酒や漬物など県内の発酵食文化の魅力を発信し観光振興に繋げることを目的に、本年２月に「あきた発酵ツーリズム推進協議会」を設立した。
| 県内向け出荷量 | 478kl |
|---|---|
| 県外向け出荷量 | 1,061kl |
| 合計出荷量前年比 | ▲5.0％ |
公共工事 国と市町村が減少し、３か月連続で前年比減少
２月の公共工事請負金額は、国と市町村が減少し、前年比7.2％減と３か月連続で前年を下回った。ただし、年度累計では前年同期比4.3％増とプラスを維持した。
一方、当研究所調査による地元大手12社の２月の新規受注額も、前年比47.0％減の753百万円と３か月連続で前年を下回った。民間工事は、同72.6％増と前年を上回ったものの受注額は少額にとどまり、官公庁工事は、前年同月にコミュニティセンター建設等の大口受注があった反動から、同52.4％減と落ち込んだ。年度累計実績でも、前年同期比3.7％減と前月よりもマイナス幅が拡大した。
貸出金、前年比増加率の鈍化傾向続く
２月末の県内銀行の預金は、前月末比251億円増加し、前年比でも2.9％の増加となった。貸出金は、前月末比22億円増加し、前年比でも0.5％の増加となった。預金、貸出金とも引き続き前年を上回って推移しているものの、貸出金の伸び率は鈍化傾向にある。
２月の倒産件数(負債総額１千万円以上)は４件(前年比２件増)、負債総額は５億3,700万円となった。倒産件数は平成24年11月以降64か月連続一桁台で推移しており、小康状態が続いている。負債総額は前年同月の負債額が約２億円と少なかったため、前年比171.2％増となった。
着工戸数、前年比減少幅が縮小
２月の県内新設住宅着工戸数は、201戸（前年比16戸減、7.4％減）と、３か月連続で前年を下回った。主力の持家と分譲住宅は減少したものの、貸家が増加したため、前年比減少幅は前月に比べて縮小した。
利用関係別では、持家が135戸(前年比10戸減)、貸家が40戸（同５戸増)、分譲住宅が26戸（同９戸減）、給与住宅が０戸(同２戸減)となっている。
持家は２か月連続で前年を下回った。貸家は秋田市、能代市、横手市などで民間の賃貸住宅が増加したほか、北秋田市で公営住宅の着工もあり、３か月ぶりに前年を上回った。分譲住宅の減少は６か月ぶり。
地域別では、持家と貸家が増加した県北のみが、前年を上回った。県央は持家と分譲住宅、県南は持家、貸家、分譲住宅の着工が各々減少し、前年を下回った。
弱いながらも持ち直しの動き
１月の百貨店・スーパー販売額は､前年比1.8％減の96億4,500万円となった。
衣料品は、紳士服・婦人服ともに低調に推移し、４か月連続で前年を下回った。飲食料品は、一部精肉などに動きがみられたものの、寒波の影響等で客足が鈍り、２か月ぶりに前年を下回った。
２月の新車総販売台数は、前年比3.2％増の4,052台となり、２か月ぶりに前年を上回った。登録車は、新車投入効果の薄れ等から、小型車を中心に伸び悩み、同0.9％減の2,035台と４か月連続で前年を下回った。軽自動車は、乗用車が減少したものの、バン、トラックで増加し、同7.6％増の2,017台と３か月連続で前年を上回った。
１月の家電販売額は、前年比2.5％増となり、３か月連続で前年を上回った。テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電が増加したほか、エアコン、暖房器具などの季節商品にも動きがみられた。
生産額、２か月ぶりに前年比減少
２月の生産額は前年比7.7％減となった。春夏物の生産がピークを迎えているが、小ロット化やデザインの複雑化等により、生産に遅れがみられ、２か月ぶりに前年を下回った。
受注も、天候不順の影響から追加受注がみられず、２か月ぶりに前年を下回った。
有効求人倍率は1.48倍、高水準続く
2月の有効求人倍率は前月比0.02ポイント低下の1.48倍となった。12か月ぶりに前月を下回ったものの、過去最高となった先月の1.50倍に次ぐ高水準となっている。常用の内訳では、一般は前月比0.04ポイント低下の1.29倍、パートは同0.04ポイント低下の1.61倍となった。
新規求人数は前年比7.3％増となり、７か月連続で前年を上回った。産業別にみると､製造業は同10.8％増となった｡「繊維」などで減少したものの、「情報通信機械」、「電気機械器具」、「木材・木製品」で大幅に増加した。非製造業は同6.9％増となった｡「宿泊，飲食サービス」では、県内外で居酒屋を展開する企業から多数の求人があり大幅に増加したほか、「情報通信」、「運輸，郵便」でも二桁の増加率となった。
新規求職者数は前年比10.3％減と、２か月連続で前年を下回った。
事業主都合離職者数は、前年比26.1％減となり、５か月連続で前年を下回った。
地域別雇用状況（パートを含む常用）をみると、新規求人数は県北で減少したものの、県央、県南で増加した。有効求人倍率は県北が最も高く1.67倍、県南が1.35倍、県央は1.30倍となった。
