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県内経済(3月号)

概況県内経済は、持ち直しの動きが続いている

 機械金属の生産は前年を下回ったが、電子部品は前年比増加に転じたほか、木材も持ち直しの動きが続いている。建設は、住宅着工が前年を下回ったが、公共工事は底堅く推移している。個人消費は持ち直しの動きが足踏みしている。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種で人手不足感の強い状況が続いている。

 産業別の動向では、電子部品の生産額は、車載向け、スマートフォン向けがともに好調を維持し、2か月ぶりに前年比増加に転じた。機械金属の生産額は、輸送機械で国内向けの自動車部品が落ち込み、2か月ぶりに前年を下回った。木材は普通合板(12月)が生産量、出荷量ともに9か月連続で前年を上回った。公共工事請負額は2か月連続で減少したが、年度累計では前年度を上回り、底堅く推移している。地元大手(12社)の建設受注額は官公庁工事が振るわず、2か月連続で減少した。住宅着工は貸家が大幅に減少し、2か月連続で前年を下回った。個人消費は、家電販売額(12月)が前年を上回ったものの、百貨店・スーパー販売額(12月)が13か月連続で前年を下回ったほか、新車販売台数も前年を下回り、全体として持ち直しの動きが足踏みしている。
 有効求人倍率は前月比0.07ポイント上昇し、過去最高の1.50倍となった。新規求人数は前年比6.6%増となり、6か月連続で増加した。事業主都合離職者数は4か月連続で前年を下回った。
 企業倒産件数は7件、負債総額は43億2,900万円であった。負債総額は大型倒産の発生で2か月ぶりに10億円を超えた。

電子部品生産額、前年比増加に転ずる

 1月の生産額は前年比2.7%増と2か月ぶりに前年比増加に転じた。昨年11月に発売となった大手スマートフォンメーカーの新モデルが販売低迷により減産が決定されるなど、スマートフォン向けは先行きに不透明感があるものの、好調な車載向けとともに、依然高水準を維持している。
 主力のセラミック・コンデンサやインダクタは堅調に推移し、車載向けの半導体素子は増勢を強めている。また、産業機器向けの液晶パネルでは増加基調が続いている。

機械金属生産額、前月対比大きく落ち込む

 1月の生産額は前年比7.3%減と2か月ぶりに前年比減少に転じ、前月対比でも大きく落ち込んだ。ウエイトの高い輸送機械において、北米向けの自動車部品は依然として好調なものの、国内向けの落ち込みが続いている影響などから、前年比、前月比とも減少した。
 輸送機械以外の民需関連では、建機部品は堅調に推移しており、製鋼品も持ち直しの動きが続いているものの、金型では設備投資の減少を受け生産減が続いている。公共工事関連でも、水道部品では増勢を保っているものの、橋梁・鉄骨は減少傾向が続いている。

木材業普通合板と製材品の明暗が顕著

 全国的に、新設住宅着工件数が伸び悩むなか、冬期に入り大雪など悪天候も影響し、製材品は生産、荷動きとも弱含んでいるが、普通合板は非住宅需要も加わり堅調を維持している。県内でも、普通合板と製材品の明暗が顕著となっている。
 12月の普通合板は、生産量が前年比17.7%増、出荷量も同12.1%増と、ともに9か月連続で前年実績を上回り、伸び率も8月以降5か月連続で二桁台が続いている。在庫量も、同39.8%増と6か月連続で前年比増加した。
 1月の製材品は、生産量が前年比17.6%減と14か月連続、出荷量も同11.1%減と13か月連続で、前年実績を下回った。

酒造業出荷量、3か月連続で前年比減少

 1月の清酒出荷量は、前月に一部で前倒しの出荷があった影響などから前年比4.6%減と3か月連続で前年を下回った。出荷先別では、県内向けが同11.7%減と大きく落ち込み、県外向けも同1.7%減と振るわなかった。県外の主な出荷先別では、東北5県は同1.4%増、北海道も同5.5%増と増加したものの、東京が同2.1%減、その他も同3.7%減と減少した。
 清酒の種類別では、特定名称酒は前年比6.5%増となり、内訳では、純米酒が同0.1%増、吟醸酒は同10.5%増、本醸造酒も同9.8%増といずれも増加した。一方で、普通酒は同12.4%減と二桁の減少率となった。

県内向け出荷量 294kl
県外向け出荷量 788kl
合計出荷量前年比 ▲4.6%

建設業公共工事 国等が減少し、2か月連続で前年比減少

 1月の公共工事請負金額は、県、市町村が増加したものの、国等が減少し、前年比20.9%減と2か月連続で前年を下回った。ただし、年度累計では前年同期比4.8%増とプラスを維持した。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の1月の新規受注額も、前年比26.3%減の529百万円と2か月連続で前年を下回った。うち民間工事は、介護福祉施設新築などの大口受注があり同319.8%増となったが、官公庁工事は、土木、建築とも振るわず同79.7%減と落ち込んだ。年度累計実績でも、前年同期比0.8%減と前年割れに転じた。

金融貸出金、前年比増加率の鈍化傾向続く

 1月末の県内銀行の預金は、前月末比601億円減少したが、前年比では2.6%の増加となった。貸出金も、前月末比198億円減少したが、前年比では0.9%の増加となった。預金、貸出金とも引き続き前年を上回って推移しているものの、貸出金の伸び率はこのところ鈍化傾向にある。
 1月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は7件(前年比2件減)、負債総額は43億2,900万円(同287.9%増)となった。倒産件数は平成24年11月以降63か月連続一桁台で推移しており、小康状態が続いている。負債総額は、大仙市の建設機械販売・整備・レンタル業者の約39億円が押し上げた。

住宅着工着工戸数、2か月連続で前年比減少

 1月の県内新設住宅着工戸数は、223戸(前年比52戸減、18.9%減)と、2か月連続で前年を下回った。分譲住宅は増加したものの、持家、貸家とも前年比二桁の減少率となった。
 利用関係別では、持家が112戸(前年比15戸減)、貸家が81戸(同36戸減)、分譲住宅が30戸(同1戸増)、給与住宅が0戸(同2戸減)となっている。
 持家は需要が伸び悩み、2か月ぶりに前年を下回った。貸家は相続税対策としての需要が一服し民間の一般向け集合住宅が減少したほか、公営住宅も減少し、2か月連続で前年を下回った。分譲住宅は小規模戸建が増加し、5か月連続で前年を上回った。
 地域別では県央が持家、貸家、給与住宅、県北は貸家の着工が各々減少し、前年を下回った。県南は前年比横這いとなった。

商況持ち直しの動きが足踏みしている

 12月の百貨店・スーパー販売額は、前年比0.6%減の122億6,500万円となった。衣料品は、紳士服・婦人服ともに低調に推移し、3か月連続で前年を下回った。飲食料品は精肉などが好調であったことから、13か月ぶりに前年を上回った。
 1月の新車総販売台数は、前年比3.9%減の3,336台となり、2か月ぶりに前年を下回った。登録車は、無資格者による完成検査問題の影響などから、小型車を中心に伸び悩み、同8.2%減の1,627台と3か月連続で前年を下回った。軽自動車は、乗用車が減少したものの、バン、トラックで増加し、同0.5%増の1,709台と2か月連続で前年を上回った。
 12月の家電販売額は、前年比2.4%増となり、2か月連続で前年を上回った。テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電が増加したほか、パソコン、ブルーレイなどの録画機にも動きがみられた。

衣類・繊維生産額、10か月ぶりに前年比増加

 1月の生産額は前年比4.5%増となった。一部冬物の追加生産があったほか、春物への切り替えも進み、10か月ぶりに前年を上回った。
 また、受注も、アイテムによりばらつきがみられるものの、婦人服を中心に増加し、5か月ぶりに前年を上回った。

雇用有効求人倍率は過去最高の1.50倍

 1月の有効求人倍率は前月比0.07ポイント上昇の1.50倍で、過去最高を更新した。1倍台は37か月連続となり高水準が続いている。常用の内訳では、一般は前月比0.01ポイント低下の1.33倍、パートは同0.03ポイント上昇の1.65倍となった。
 新規求人数は前年比6.6%増となり、6か月連続で前年を上回った。産業別にみると、製造業は同10.9%増となった。「木材・木製品」、「電気機械器具」などで減少したものの、「食料品」や自動車関連部品などの受注が好調な「電子部品・デバイス・電子回路」で大幅に増加した。非製造業は同6.1%増となった。「建設」、「運輸,郵便」で昨年同時期に多数の求人があった反動から減少したものの、「医療,福祉」で二桁の増加率となったほか、その他の業種でも増加した。
 新規求職者数は前年比6.6%減と、2か月ぶりに前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比29.0%減となり、4か月連続で前年を下回った。
 地域別雇用状況(パートを含む常用)をみると、新規求人数は県北、県央、県南の全地域で増加した。有効求人倍率は県北が最も高く1.67倍、県央が1.38倍、県南は1.36倍となった。

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