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県内経済(1月号)

概況県内経済は、持ち直しの動きが続いている

 機械金属の生産は前年を下回ったが、電子部品は増勢基調が続いているほか、木材も持ち直しの動きが続いている。建設は、住宅着工が前年を上回ったほか、公共工事も堅調に推移している。個人消費は持ち直しの動きが足踏みしている。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種で人手不足感の強い状況が続いている。

 産業別の動向では、電子部品の生産額は、自動車関連の増勢が続いているほか、スマートフォン向けの受注も好調を維持し、7か月連続で前年を上回った。機械金属の生産額は、輸送機械で完成車の無資格検査問題が影響し、19か月ぶりに前年を下回った。木材は普通合板(10月)が生産量、出荷量ともに7か月連続で前年を上回った。公共工事請負額は2か月連続で増加し、年度累計でも前年度を上回って推移している。地元大手(12社)の建設受注額は官公庁工事が伸び、2か月連続で増加した。住宅着工は2か月連続で前年を上回った。個人消費は、大型小売店販売額(10月)が11か月連続で前年を下回り、新車販売台数も9か月ぶりに前年を下回ったほか、家電販売額(10月)も低調となり、全体として持ち直しの動きが足踏みしている。
 有効求人倍率は前月比0.05ポイント上昇し、過去最高の1.44倍となった。新規求人数は前年比12.2%増となり、4か月連続で増加した。事業主都合離職者数は2か月連続で前年を下回った。
 企業倒産件数は3件、負債総額は11億6,200万円であった。負債総額は、10か月ぶりに10億円を超えた。

電子部品増勢基調が続く

 11月の生産額は前年比4.6%増と7か月連続で前年実績を上回った(※)。車載向けの半導体素子で増加が続いているほか、スマートフォンメーカーの新モデル向け受注も好調を維持している。
 主力のセラミック・コンデンサはスマートフォン向けに不足感が高まっているなど需要が増加している。また、医療用や放送用モニタなどの産業機器向けのハイエンドの液晶パネルも持ち直しの動きが続いている。

機械金属生産額、19か月ぶりに前年比減少

 11月の生産額は前年比8.5%減と19か月ぶりに前年実績を下回った。ウエイトの高い輸送機械において、北米向けの自動車部品は依然として好調なものの、国内向けで無資格検査問題により一部生産が停止するなどの影響があり、前年比、前月比とも減少した。
 輸送機械以外の民需関連では、金型が減少に転じたものの、建機部品は国内外の好調な需要を背景に引き続き堅調に推移しており、製鋼品は持ち直しの兆しがみられる。公共工事関連では、橋梁・鉄骨は一進一退の動きが続いているものの、水道部品は増勢を保っている。

木材業普通合板は堅調だが製材品は依然低調

 全国的には、新設住宅着工件数に一服感がみられるものの、非住宅需要も加わって、普通合板、製材品とも生産量、出荷量は前年比プラスを維持しているが、県内では依然として製材品が低調な推移にとどまっている。
 10月の普通合板は、生産量が前年比18.3%増、出荷量も同16.4%増と、ともに7か月連続で前年実績を上回り、伸び率も8月以降3か月連続で二桁台が続いている。在庫量も、同24.7%増と4か月連続で前年比増加した。
 11月の製材品は、生産量が前年比8.3%減と12か月連続、出荷量も同15.4%減と11か月連続で、前年実績を下回った。

酒造業出荷量、2か月ぶりに前年比減少

 11月の清酒出荷量は、全国大手との価格競争が激化した影響などから、前年比6.6%減と2か月ぶりに前年を下回った。出荷先別では、県内向けは同8.4%減、県外向けも同5.8%減と、ともに低調となった。県外の主な出荷先別では、東京が同9.8%減、北海道も同1.8%減となり、東北5県は同10.0%減と二桁の減少率となった。
 清酒の種類別では、特定名称酒は前年比2.3%増と伸びたものの、主力である普通酒が同12.2%減と落ち込んだ。特定名称酒の内訳では、吟醸酒は同6.5%増、純米酒も同1.5%増となった一方で、本醸造酒が同6.4%減と振るわなかった。

県内向け出荷量 636kl
県外向け出荷量 1,356kl
合計出荷量前年比 ▲6.6%

建設業公共工事 国、県、市町村が増加し、2か月連続で前年比増加

 11月の公共工事請負金額は、国、県、市町村がともに増加し、前年比111.9%増と2か月連続で前年を上回り、年度累計でも前年同期比8.1%増と前月よりもプラス幅が拡大した。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の11月の新規受注額も、前年比2.5%増の1,034百万円と2か月連続で前年を上回った。うち民間工事は同27.1%減と振るわなかったが、官公庁工事が同30.9%増と伸びた。河川の築堤や整備などの大口受注が寄与した。年度累計の受注実績でも、前年同期比1.4%増と引き続き前年実績を上回った。

金融預金、貸出金とも前年比プラスが続く

 11月末の県内銀行の預金は、前月末比33億円増加し、前年比でも2.5%増と10か月連続で増加した。貸出金は、前月末比53億円増加し、前年比でも1.9%増と引き続き前年を上回って推移している。
 11月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は3件(前年比4件減)、負債総額は11億6,200万円(同49.1%減)となった。倒産件数は、平成24年11月以降61か月連続一桁台で推移しており、小康状態が続いている。負債総額は、能代市の土木工事業の負債額9億8,900万円が押し上げたが、20億円超の倒産があった前年同月との対比では大幅に減少した。

住宅着工着工戸数、2か月連続で前年比増加

 11月の県内新設住宅着工戸数は、368戸(前年比30戸増、8.9%増)であった。持家は減少したものの、貸家が大きく増加したほか、分譲住宅も増加し、2か月連続で前年を上回った。
 利用関係別では、持家が215戸(前年比1戸減)、貸家が119戸(同23戸増)、分譲住宅が32戸(同8戸増)、給与住宅が2戸(同横這い)となっている。

 持家は2か月ぶりに前年を下回った。貸家は民間の一般向け集合住宅が増加し、3か月ぶりに前年を上回った。分譲住宅は小規模戸建の着工が増加し、3か月連続で前年を上回った。
 地域別では、持家が減少した県央のみが、前年を下回った。県北は貸家と分譲住宅、県南は持家、貸家、分譲住宅の着工が各々増加し、前年を上回った。

商況持ち直しの動きが足踏みしている

 大型小売店販売額が11か月連続で前年を下回ったほか、新車販売台数および家電販売額も前年を下回り、全体としては持ち直しの動きが足踏みしている。
 10月の大型小売店販売額は、前年比2.4%減となった。衣料品は、紳士服・婦人服ともに低調に推移し、2か月ぶりに前年を下回ったほか、飲食料品も青果、鮮魚、総菜などの不振から、11か月連続で前年を下回った。
 11月の新車販売台数は、前年比5.5%減となり、9か月ぶりに前年を下回った。登録車は、無資格者による完成検査問題を受け、出荷停止等の影響により小型車を中心に伸び悩み、前年比8.1%減と2か月ぶりに前年を下回った。軽自動車は、乗用車、トラックともに減少し、同2.5%減と2か月連続で前年を下回った。
 10月の家電販売は、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電が増加したものの、パソコンやスマートフォンなどが振るわず、前年を下回った。

衣類・繊維生産額、8か月連続の前年比減少

 11月の生産額は前年比15.2%減となった。冬物から春物への切り替えが進んでいるものの、受注ロットの減少が続いており、8か月連続で前年を下回った。
 受注も、冬物重衣料の追加分が前年よりも減少したことから、3か月連続で前年を下回った。

雇用有効求人倍率は過去最高の1.44倍

 11月の有効求人倍率は前月比0.05ポイント上昇の1.44倍で、過去最高を更新した。1倍台は35か月連続となり高水準が続いている。常用の内訳では、一般は前月比0.06ポイント上昇の1.29倍、パートは同0.05ポイント上昇の1.63倍となった。
 新規求人数は前年比12.2%増となり、4か月連続で前年を上回った。産業別にみると、製造業は同37.7%増となった。「電気機械器具」、「情報通信機械」で大幅に増加したほか、「食料品」、「木材・木製品」、「電子部品・デバイス・電子回路」、「繊維」でも二桁の増加率となった。非製造業は同9.5%増となった。「生活関連サービス,娯楽」で昨年大口求人があった反動から減少したが、「情報通信」、「運輸,郵便」などで二桁の増加率となったほか、その他の業種でも増加した。
 新規求職者数は前年比4.6%減と、3か月連続で前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比19.6%減となり、2か月連続で前年を下回った。
 地域別雇用状況(パートを含む常用)をみると、新規求人数は県央、県南で二桁の増加率となったほか、県北でも増加した。有効求人倍率は県北が最も高く1.57倍、県南が1.37倍、県央は1.34倍となった。

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