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冬のボーナス支給見通し

 平成29年冬のボーナス支給見通しについて、「支給する」と回答した企業の割合は28年冬の調査を1.1ポイント上回る63.6%となった。「支給しない」とする企業は1.2ポイント上昇の8.8%となった。
 1人当たり支給額については全体の70.6%が「変わらない」と回答したものの、「増加する」とした企業割合が上昇し、「減少する」とした企業割合が低下したため、「ボーナスDI」は前回調査比11ポイント上昇の19に改善し、ボーナス支給に積極的な姿勢を示す傾向が強まった。

ボーナス支給予定企業の割合は63.6%

 当研究所では、平成29年冬のボーナス支給見通しについて、県内の323事業所を対象にアンケート調査を行った。
 回答のあった261社のうち、「支給する」とした企業は63.6%(166社)となった。28年冬の調査(以下、「前回調査」)と比べて1.1ポイント上昇し、18年に調査方法を変更して以来、最も割合が高くなった。「支給しない」は8.8%(23社)で、前回調査と比べて1.2ポイント上昇したものの、3年連続で1割を下回った。「未定」は27.6%(72社)で、同2.3ポイント低下した。

1人当たりの平均支給額、「変わらない」が70.6%

 冬のボーナスを「支給する」と回答した企業の1人当たり支給額の見通し(前年比増減)をみると、「変わらない」が最も多く、70.6%(前回調査比1.2ポイント低下)を占めた。「増加する」と回答した企業は同6.3ポイント上昇し24.4%となった。また、「減少する」は同5.2ポイント低下の5.0%となった。
 なお、平成28年冬のボーナス支給実績は、「支給した」が85.2%、「支給しなかった」が14.1%となり、支給前の見通しで「未定」としていた企業(29.9%)の多くが支給していたことが分かった。また、1人当たりの支給額増減については「増加した」が32.4%、「変わらなかった」が48.9%、「減少した」は18.7%となり、見通し段階と比較して、「増加した」と回答した企業が14.3ポイント上昇した。

ボーナスDI

 平成29年冬の1人当たりのボーナス支給額増減見通しについて、「増加する」と回答した企業の割合から「減少する」とした企業の割合を差し引いた「ボーナスDI」は、全産業で前回調査比11ポイント上昇の「19」となり、2年ぶりに改善する見通しとなった。
 産業別にみると、製造業は前回調査比7ポイント上昇の「11」、非製造業も同16ポイント上昇の「27」となった。

業種別DI

製造業
 製造業の業種別DIでは、「電子部品」で受注回復に伴い、前回調査比38ポイント上昇の「7」と大幅に改善したほか、「機械金属」でも、引き続き堅調な業績が見込まれることから積極的な姿勢となっており、同22ポイント上昇の「29」となった。また、「酒造」では、普通酒が大きく落ち込んだものの、高付加価値商品の販売が好調であったため、同3ポイント上昇の「25」となった。一方、「木材・木製品」では、横這いとした企業がほとんどを占め、引き上げるとした企業がなかったことから、同58ポイント低下の「△29」と大きく落ち込んだ。衣服縫製、食料品などの「その他製造業」では、同1ポイント上昇の「7」となった。

非製造業
 非製造業では、「建設」で人手不足を背景に賃金が上昇傾向にあることから、前回調査比32ポイント上昇の「36」と大きく改善した。また、大型観光キャンペーン等により需要が増加した「観光」や、荷動きが回復傾向にある「運輸」を含む「その他非製造業」で、同11ポイント上昇の「29」となった。「卸売・小売」では、引き下げるとした企業が減少したことから同9ポイント上昇の「17」となった。

【参考】
 1人当たりの平均支給予定金額および支給月数
 ①1人当たりの平均支給予定金額は28.4万円
 回答いただいた55社(うち製造業26社、非製造業29社)の1人当たりの支給予定金額(加重平均)は284,800円となった。前年比で大幅にダウンした昨年冬(284,400円)と比べて、400円の増加となった。なお、最高は73.8万円、最低は4.0万円となった。

 ②1人当たりの平均支給月数は1.43か月
 回答いただいた58社(うち、製造業27社、非製造業31社)の1人当たりの平均支給月数(単純平均)は1.43か月となり、昨年冬(1.45か月)と比べて0.02か月の減少となった。なお、最高は3.5か月、最低は0.5か月となった。

 加重平均:ボーナス支給人数を考慮した平均
 単純平均:1企業当たりの平均

まとめ

 平成29年冬のボーナス支給見通しは、「支給する」企業の割合が前年に比べて上昇し、18年に調査方法を変更して以来、最も高くなった。また、1人当たりのボーナス支給額が「増加する」とした企業が2割を越え、ボーナスDIも前回調査比11ポイント上昇と大幅に改善している。
 今回の調査では、企業の業績改善のほか、企業側の人手不足感が強まり、人員確保の必要性からも、ボーナス支給に積極的な姿勢が窺える結果となった。
(打矢 亘)
あきた経済

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