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県内経済(10月号)

概況県内経済は、持ち直しの動きが続いている

 電子部品、木材の生産は高水準を保っているほか、機械金属も堅調に推移している。建設は、住宅着工が前年を上回ったほか、公共工事も増加傾向で推移している。個人消費は持ち直しの動きとなっている。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種では人手不足が深刻化している。
 産業別の動向では、電子部品の生産額は車載向けの増勢が続いているほか、スマートフォン向けの受注も増加し、2か月ぶりに前年を上回った。機械金属の生産額は、輸送機械で北米および国内向け自動車部品の堅調な動きが続き、5か月連続で前年を上回った。木材は普通合板(7月)の生産量が16か月連続で前年を上回り、荷動きにも回復の兆しが窺える。公共工事請負額は5か月連続で増加し、年度累計でも前年度を上回って推移している。地元大手(12社)の建設受注額は、官公庁工事、民間工事ともに増加し、3か月ぶりに増加した。住宅着工は持家が大幅に増加し、2か月連続で前年を上回った。個人消費は、百貨店・スーパー販売額(7月)が前年比横這いであったが、新車販売台数および家電販売額(7月)が前年を上回り、全体として持ち直しの動きとなっている。
 有効求人倍率は前月比0.01ポイント上昇し1.51倍となった。新規求人数は前年比8.1%減となり、13か月ぶりに減少した。事業主都合離職者数は4か月連続で前年を下回った。
 企業倒産件数は7件、負債総額は6億9,200万円であった。

電子部品高水準続く

 8月の生産額は前年比0.7%増と2か月ぶりに前年実績を上回った(※)。車載向けが依然好調であることに加え、スマートフォン向けが北米大手スマートフォンメーカーの新モデルの受注などから上向きとなってきており、高水準が続いている。
 品目別では、主力のセラミック・コンデンサやインダクタは増加傾向となっており、半導体素子も続伸している。産業機器向けの液晶パネルは減少傾向となっている。

機械金属生産額、5か月連続で前年を上回る

 8月の生産額は前月対比では減少したものの、前年比5.7%増と5か月連続で前年実績を上回った。ウエイトの高い輸送機械において、自動車部品が北米向けの好調が続いていることに加え、国内向けも増加傾向にあることから堅調に推移しており、全体の水準を押し上げている。
 輸送機械以外の民需関連では、製鋼品は減少が続いているものの、建機部品は増加傾向にある。金型は前年比では減少したものの、高水準を維持している。公共工事関連では、水道部品は増勢が続いているものの、橋梁・鉄骨は減少傾向にある。

木材業普通合板が高い生産水準を維持

 全国的には、新設住宅着工など実需が伸び悩むなか、猛暑や西日本豪雨、台風なども影響し、普通合板、製材品とも生産、出荷は総じて停滞感を強めている。一方、県内では普通合板が高い生産水準を保ち、荷動きにも回復の兆しが窺える。
 7月の普通合板は、生産量が前年比10.0%増と16か月連続で前年実績を上回り、伸び率も前月に引き続き二桁台となった。出荷量も同1.8%増と、4か月ぶりに前年を上回った。この結果、在庫量は同108.8%増と13か月連続で増加した。
 8月の製材品は、生産量が前年比5.0%減と3か月連続で、出荷量は同5.0%減と5か月連続で、ともに前年を下回った。

酒造業出荷量、前年比減少幅が拡大

 8月の清酒出荷量は、前年比10.3%減と10か月連続で前年を下回った。全国的な猛暑や、各地に甚大な被害をもたらした台風の影響などから業務用市場で需要が縮小し、二桁の減少率となった。出荷先別では、県内向けが同10.1%減、県外向けも同10.4%減と、ともに前年を大きく下回った。県外の主な出荷先別では、北海道が同4.0%減、東京は同13.5%減、東北5県も同14.1%減と、いずれも減少した。種類別では、普通酒が同14.5%減と落ち込み、特定名称酒も吟醸酒と本醸造酒の減少が続いたため同4.8%減と振るわなかった。

県内向け出荷量 461kl
県外向け出荷量 746kl
合計出荷量前年比 ▲10.3%

建設業公共工事 県、市町村が増加し、5か月連続で前年比増加

 8月の公共工事請負金額は、国が減少したものの県、市町村が増加し、前年比44.0%増と5か月連続で増加した。年度累計でも前年同期比34.4%増と前年を上回っている。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の8月の新規受注額も、前年比10.2%増の2,701百万円と3か月ぶりに前年を上回った。うち官公庁工事は、道路や水利事業などの大口受注により土木が増加し、同8.5%増と前年実績を上回った。民間工事も、福祉施設などの建築受注があり、同13.5%増と伸びた。ただし、年度累計の受注実績では前年同期比7.2%減と依然前年実績を割り込んでいる。

金融貸出金の伸び率、前月よりもやや鈍化

 8月末の県内銀行の預金は、前月末比8億円増加し、前年比でも3.0%の増加となった。貸出金は、前月末比43億円増加し、前年比でも0.8%の増加となった。預金、貸出金とも引き続き前年を上回って推移しているが、預金の伸び率が前月から横這いとなった一方、貸出金の伸び率はやや鈍化した。
 8月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は7件(前年比5件増)、負債総額は6億9,200万円となった。倒産件数は平成24年11月以降70か月連続一桁台と、低水準が続いている。負債総額は前年同月が少額であったため、前年比291.0%増となったが、負債額としては依然低水準にとどまっている。

住宅着工着工戸数、2か月連続で前年比増加

 8月の県内新設住宅着工戸数は、454戸(前年比16戸増、3.7%増)であった。貸家が減少したものの、主力である持家のほか、分譲住宅も増加し、2か月連続で前年を上回った。
 利用関係別では、持家が316戸(前年比82戸増)、貸家が104戸(同76戸減)、分譲住宅が33戸(同10戸増)、給与住宅が1戸(同横這い)となっている。
 持家は2か月連続で前年を上回った。貸家は、前年同月に秋田市などで民間の一般向け賃貸住宅が大幅に増加したほか、公営住宅も増加した反動から、3か月ぶりに前年を下回った。分譲住宅は小規模戸建が増加し、2か月連続で前年を上回った。
 地域別では、県北・県央・県南の全地域で、持家と分譲住宅が増加し、前年を上回った。

商況持ち直しの動き

 7月の百貨店・スーパー販売額は、前年比横這いの101億4,000万円となった。衣料品は、紳士服・婦人服ともに振るわず、2か月ぶりに前年を下回った。飲食料品は、青果のほか、猛暑の影響によりアイスなどの涼味商材が好調となったことから、2か月連続で前年を上回った。
 8月の新車総販売台数は、前年比11.3%増の3,819台となり、2か月連続で前年を上回った。登録車は、普通車および貨物車を中心に増加し、同9.2%増の2,126台と2か月連続で前年を上回った。軽自動車も、乗用車、バン、トラックともに増加し、同13.9%増の1,693台と2か月連続で前年を上回った。
 7月の家電販売額は、前年比1.3%増となった。猛暑の影響からエアコンや扇風機などの季節商品が好調だったほか、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電にも動きがみられ、2か月連続で前年を上回った。

衣類・繊維生産額、6か月連続で前年比増加

 8月の生産額は、前年比5.6%増となった。前月に比べ増加幅は縮小したものの、秋冬物の生産が本格化し、6か月連続で前年を上回った。
 受注も、婦人服を中心に増加し、2か月ぶりに前年を上回ったものの、人手不足等の影響から、受注を制限せざるを得ない状況も一部で発生している。

雇用有効求人倍率は1.51倍、高水準続く

 8月の有効求人倍率は、前月比0.01ポイント上昇の1.51倍となり、高水準が続いている。常用の内訳では、一般は前月比0.02ポイント上昇の1.37倍、パートは同0.07ポイント上昇の1.52倍となった。
 新規求人数は前年比1.8%減となり、13か月ぶりに前年を下回った。産業別にみると、製造業は同4.4%減となった。「電気機械器具」、「食料品」などで増加したものの、「木材・木製品」、「繊維」、「情報通信機械」で減少した。非製造業は同1.4%減となった。「サービス」、「情報通信」、「医療,福祉」などで増加したものの、「宿泊,飲食サービス」では、大手飲食チェーンが求人の更新時期を変更したこと、「運輸,郵便」では、昨年同時期に大幅に増加した反動から二桁の減少率となった。
 新規求職者数は前年比8.1%減と、2か月ぶりに前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比34.9%減となり、4か月連続で前年を下回った。
 地域別雇用状況(パートを含む常用)をみると、新規求人数は県南で増加したものの、県北、県央で減少した。有効求人倍率は県北が最も高く1.77倍、県南が1.37倍、県央が1.32倍となった。

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