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県内経済(9月号)

概況県内経済は、持ち直しの動きが続いている

 電子部品、木材の生産は堅調に推移しているほか、機械金属も持ち直している。建設は、住宅着工が前年を上回ったほか、公共工事も増加傾向で推移している。個人消費は持ち直しの動きとなっている。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種では人手不足が深刻化している。
 産業別の動向では、電子部品の生産額は7か月ぶりに前年実績を下回ったが、車載向けが好調に推移しており、高水準の生産を維持している。機械金属の生産額は、輸送機械で北米向け自動車部品の増勢が続くなど、4か月連続で前年を上回った。木材は普通合板(6月)の生産量が15か月連続で前年を上回ったが、荷動きは鈍化している。公共工事請負額は4か月連続で増加し、年度累計でも前年度を上回って推移している。地元大手(12社)の建設受注額は、民間工事が振るわず、2か月連続で減少した。住宅着工は貸家が大幅に増加し、2か月ぶりに前年を上回った。個人消費は、百貨店・スーパー販売額(6月)が19か月ぶりに前年を上回ったほか、新車販売台数および家電販売額(6月)も前年を上回り、全体として持ち直しの動きとなっている。
 有効求人倍率は前月比0.01ポイント低下し1.50倍となった。新規求人数は前年比12.2%増となり、12か月連続で増加した。事業主都合離職者数は3か月連続で前年を下回った。
 企業倒産件数は9件、負債総額は19億6,700万円であった。負債総額は大型倒産の発生で4か月ぶりに10億円を超えた。

電子部品7か月ぶりに前年比減少も高水準

 7月の生産額は前年比1.9%減と7か月ぶりに前年実績を下回った。前年7月は北米大手スマートフォンメーカーの新機種向け受注の影響で生産額が大幅に伸びたため前年対比では減少したものの、車載向けが好調であることから高水準を維持している。
 品目別では、主力のセラミック・コンデンサやインダクタは堅調に推移しており、半導体素子も増勢が続いている。一方、産業機器向けの液晶パネルは減少傾向にある。

機械金属輸送機械、増勢続く

 7月の生産額は前年比6.1%増と4か月連続で前年実績を上回り、増加幅も前月に比べ拡大した。ウエイトの高い輸送機械では、自動車部品が、好調な北米向けに加え国内向けも増加傾向にあることから増勢が続いており、全体の水準を押し上げている。
 輸送機械以外の民需関連では、製鋼品は減少が続いているものの、建機部品は堅調に推移している。金型は前年対比で減少に転じたものの、依然高水準を維持している。公共工事関連では、水道部品は増勢が続いており、橋梁・鉄骨は持ち直しの動きがみられる。

木材業普通合板、製材品とも依然荷動き低調

 全国的に、新設住宅着工戸数が伸び悩み、普通合板、製材品とも荷動きは総じて低調。生産は普通合板が前年を上回っているものの、製材品は悪天候による原木の出材不足等を要因に減少している。県内も、ほぼ同傾向の動きとなっている。
 6月の普通合板は、生産量が前年比10.0%増と15か月連続で前年実績を上回り、伸び率も4か月ぶりに二桁となったが、出荷量は同5.1%減と3か月連続で前年実績を下回った。在庫量は同91.6%増と12か月連続で前年比増加した。
 7月の製材品は、生産量が前年比13.6%減と2か月連続で、出荷量は同4.5%減と4か月連続で、ともに前年を下回った。

酒造業出荷量、前年比減少続く

 7月の清酒出荷量は、前年比1.8%減と9か月連続で前年を下回った。前年同月に改正酒税法施行の影響から大きく落ち込んだため、前年比減少幅は前月よりも縮小したものの、全国的な猛暑や天候不順の影響から業務用市場で需要が落ち込んだ。出荷先別では、県内向けは同2.7%増と持ち直しの動きが続いたが、県外向けが同4.4%減と振るわなかった。県外の主な出荷先別では、北海道は同0.1%減、東京は同1.8%減、東北5県は同2.4%減と、いずれも前年を下回った。種類別では、普通酒は同4.1%減と依然減少が続いているが、特定名称酒は純米酒がけん引し同0.9%増と増加した。

県内向け出荷量 461kl
県外向け出荷量 746kl
合計出荷量前年比 ▲1.8%

建設業公共工事 国、県、市町村が増加し、3か月連続で前年比増加

 6月の公共工事請負金額は、国、県、市町村が揃って増加し、前年比88.8%増と3か月連続で前年を上回った。年度累計でも前年同期比42.9%増と堅調に推移している。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の6月の新規受注額は、前年比38.2%減の2,334百万円と2か月ぶりに前年を下回った。うち民間工事は、土木、建築とも振るわず同80.9%減と前年実績を大きく下回った。官公庁工事も、河川災害復旧等の大口受注があったものの、前年実績には及ばず同6.7%減となった。これにより、年度累計の受注実績でも前年同期比13.1%減とマイナスに転じた。

金融貸出金の伸び率、低水準で推移

 7月末の県内銀行の預金は、前月末比830億円減少したが、前年比では3.0%の増加となった。貸出金は、前月末比16億円増加し、前年比でも0.9%の増加となった。預金、貸出金とも引き続き前年を上回って推移しているものの、貸出金の伸びはこのところ低水準にとどまっている。
 7月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は9件(前年比3件増)、負債総額は19億6,700万円(同136.4%増)となった。倒産件数は平成24年11月以降69か月連続一桁台で推移しており、低水準が続いている。負債総額は、秋田市の建設業者の大型倒産(負債額約17億円)が押し上げた。

住宅着工着工戸数、2か月ぶりに前年比増加

 7月の県内新設住宅着工戸数は、502戸(前年比166戸増、49.4%増)と、2か月ぶりに前年を上回った。持家と分譲住宅が増加したほか、貸家も大型集合住宅の建設があり大幅増となった。
 利用関係別では、持家が241戸(前年比9戸増)、貸家が227戸(同148戸増)、分譲住宅が32戸(同9戸増)、給与住宅が2戸(同横這い)となっている。
 持家は2か月ぶりに前年を上回った。貸家は秋田駅東口でJR東日本による学生向けマンションの着工があり、2か月連続で前年を上回った。分譲住宅は小規模戸建が増加し、3か月ぶりに前年を上回った。
 地域別では、県北・県央・県南の全地域で前年を上回った。県央は貸家と分譲住宅、県北と県南は持家と貸家が増加し、各々前年を上回った。

商況持ち直しの動き

 6月の百貨店・スーパー販売額は、前年比3.1%増の95億3,100万円となり、19か月ぶりに前年を上回った。衣料品は、紳士服・婦人服ともに増加し、9か月ぶりに前年を上回った。飲食料品も、気温の上昇によりアイスなどの涼味商材に動きがみられ、3か月ぶりに前年を上回った。
 7月の新車総販売台数は、前年比6.7%増の4,457台となり、2か月ぶりに前年を上回った。登録車は、普通車および輸入車を中心に増加し、同6.1%増の2,449台と2か月ぶりに前年を上回った。軽自動車も、トラックが減少したものの乗用車およびバンが増加し、同7.3%増の2,008台と3か月ぶりに前年を上回った。
 6月の家電販売額は、前年比5.8%増となった。テレビやブルーレイなどの録画機が増加したほか、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電、エアコンなどの季節商品にも動きがみられ、3か月ぶりに前年を上回った。

衣類・繊維生産額、5か月連続で前年比増加

 7月の生産額は、前年比9.4%増となった。前月に比べ増加幅は縮小したものの、一部夏物の追加生産もあり、5か月連続で前年を上回った。
 一方、受注は、夏物から秋冬物への切り替えが本格化する時期であるが、高温が続いている影響などから調整の動きもみられ、5か月ぶりに前年を下回った。

雇用有効求人倍率は1.50倍、高水準続く

 7月の有効求人倍率は、1.50倍となった。前月比0.01ポイント低下したものの、高水準が続いている。常用の内訳では、一般は前月比0.03ポイント上昇の1.35倍、パートは同0.10ポイント上昇の1.45倍となった。
 新規求人数は前年比12.2%増となり、12か月連続で前年を上回った。産業別にみると、製造業は同3.0%減となった。「情報通信機械」で増加したものの、「木材・木製品」、「食料品」、「電子部品・デバイス・電子回路」で二桁の減少率となった。非製造業は同14.2%増となった。「生活関連サービス,娯楽」や、これまで増加が続いていた反動から「運輸,郵便」で減少したものの、「サービス」、「情報通信」、「卸売,小売」、「医療,福祉」で二桁の増加率となったほか、その他の業種でも増加した。
 新規求職者数は前年比0.1%増と、3か月ぶりに前年を上回った。
 事業主都合離職者数は、前年比40.0%減となり、3か月連続で前年を下回った。
 地域別雇用状況(パートを含む常用)をみると、新規求人数は県北、県央、県南の全地域で増加した。有効求人倍率は県北が最も高く1.72倍、県南が1.36倍、県央が1.27倍となった。

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