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県内経済(7月号)

概況県内経済は、持ち直しの動きが続いている

 電子部品、木材の生産は堅調に推移しているほか、機械金属も持ち直している。建設は、住宅着工が前年を上回ったほか、公共工事も堅調に推移している。個人消費は持ち直しの動きが足踏みしている。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種では人手不足が深刻化している。

 産業別の動向では、電子部品の生産額は、スマートフォン向けが減少傾向にあるものの、車載向けは増勢を強めており、5か月連続で前年を上回った。機械金属の生産額は、輸送機械で北米向けの自動車部品が増勢を保つなど、2か月連続で前年を上回った。木材は普通合板(4月)の生産量が13か月連続で前年を上回り、堅調に推移している。公共工事請負額は2か月連続で増加し、年度累計でも前年度を上回って推移している。地元大手(12社)の建設受注額は、民間工事が振るわなかったものの、官公庁工事で大口受注があり、2か月ぶりに増加した。住宅着工は6か月ぶりに前年を上回った。個人消費は、新車販売台数が前年を上回ったものの、百貨店・スーパー販売額(4月)および家電販売額(4月)が前年を下回り、全体として持ち直しの動きが足踏みしている。
有効求人倍率は前月比0.09ポイント低下し1.51倍となった。新規求人数は前年比1.2%増となり、10か月連続で増加した。事業主都合離職者数は3か月ぶりに前年を下回った。
企業倒産件数は3件、負債総額は6億4,900万円であった。

電子部品生産額、高水準を保つ

 5月の生産額は前年比1.2%増と5か月連続で前年実績を上回った(※)。スマートフォン向けは、中国市場における販売低迷の影響から減少傾向が続いているものの、EV化や自動運転など技術革新が進む車載向けは増勢を強めており、生産額は高水準を保っている。品目別では、主力のセラミック・コンデンサやインダクタは横這い傾向が続いているものの、半導体素子は増勢を強めている。産業機器向けの液晶パネルも堅調に推移している。
(※)「平成29年9月分」から調査先に生産額の計上方法を見直した先があるが、9月以降の前年比数値は前年の生産額との単純比較。

機械金属生産額、2か月連続で前年を上回る

 5月の生産額は前年比5.8%増と2か月連続で前年実績を上回った。ウエイトの高い輸送機械が、北米向け自動車部品が好調なことに加え、国内向けも堅調なことから増勢が続いており、全体の水準を押し上げている。
 輸送機械以外の民需関連では、製鋼品は低調な生産が続いているものの、建機部品は国内外の好調な需要を背景に持ち直しの兆しがみられる。金型は設備投資が増加している影響から前年対比大幅増の生産が続いている。公共工事関連では、水道部品は堅調に推移しており、橋梁・鉄骨は下げ止まり傾向にある。

木材業普通合板、製材品とも荷動き低調

 全国的に、新設住宅着工需要の回復感乏しく、普通合板、製材品の生産量、出荷量とも前年実績は上回りつつも、伸び率は低率にとどまる。一方、県内では、普通合板、製材品とも生産量は前年並みながら、出荷量は前年割れとなっている。
 4月の普通合板は、生産量が前年比0.8%増と13か月連続で前年実績を上回ったものの、伸び率は大幅に減速し、出荷量は同0.3%減と13か月ぶりに前年比マイナスに転じた。この間、在庫量は同38.8%増と10か月連続で前年比増加した。
 5月の製材品は、生産量が前年比横這いとなったものの、出荷量は同4.8%減と2か月連続で前年比マイナスとなった。

酒造業出荷量、前年の駆け込み需要の反動で大幅減

 5月の清酒出荷量は、県内向けが前年比20.8%減、県外向けも同11.8%減となり、全体では同15.1%減と7か月連続で前年を下回った。前年同月に改正酒税法施行前の駆け込み需要が生じ低価格帯商品を中心に出荷が急伸した反動から、前年比で大きく落ち込んだ。県外の主な出荷先別では、北海道が同6.2%増となったものの、東京は同14.3%減、東北5県も同16.9%減と、ともに二桁の減少率となった。種類別では、特定名称酒が同2.8%増と増加した一方で、普通酒は同26.6%減と大幅に減少した。

県内向け出荷量 419kl
県外向け出荷量 800kl
合計出荷量前年比 ▲15.1%

建設業公共工事 国、県、市町村が増加し、2か月連続で前年比増加

 5月の公共工事請負金額は、国、県、市町村が増加し、前年比46.0%増と2か月連続で前年を上回った。年度累計でも前年同期比26.3%増と前年実績を上回っている。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の5月の新規受注額も、前年比15.9%増の3,587百万円と2か月ぶりに前年を上回った。うち民間工事は、建築が前年を上回ったものの土木が低調で、同11.2%減と前年実績を下回ったが、官公庁工事は、庁舎や文化施設、公立学校等建築の大口受注が寄与し、同105.1%増と前年を大幅に上回った。年度累計でも前年同期比6.2%増と前年実績を上回る。

金融預金、貸出金ともに前年比増加率は鈍化傾向

 5月末の県内銀行の預金は、前月末比242億円減少したが、前年比では2.7%の増加となった。貸出金も、前月末比35億円減少したが、前年比では0.7%の増加となった。預金、貸出金ともに前年を上回って推移しているものの、伸び率はこのところ鈍化傾向にある。
 5月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は3件(前年比2件減)、負債総額は6億4,900万円となった。倒産件数は平成24年11月以降67か月連続一桁台で推移しており、低水準が続いている。負債総額は、前年同月が小口倒産のみであったため、前年比232.8%増と大幅に増加した。

住宅着工着工戸数、6か月ぶりに前年比増加

 5月の県内新設住宅着工戸数は、443戸(前年比27戸増、6.5%増)であった。貸家と分譲住宅は減少したものの、主力である持家が大幅に増加したため、6か月ぶりに前年を上回った。
 利用関係別では、持家が308戸(前年比38戸増)、貸家が100戸(同1戸減)、分譲住宅が34戸(同10戸減)、給与住宅が1戸(同横這い)となっている。
 持家は2か月連続で前年を上回った。貸家は大館市で伸びたものの、秋田市や由利本荘市などで民間の一般向け賃貸住宅が大幅に減少し、3か月連続で前年を下回った。分譲住宅の減少は3か月ぶり。
 地域別では、貸家と分譲住宅の着工が減少した県央のみが、前年を下回った。県北は貸家、県南は持家が各々増加し、前年を上回った。

商況持ち直しの動きが足踏みしている

 4月の百貨店・スーパー販売額は、前年比1.2%減の92億6,400万円となった。衣料品は、紳士服・婦人服ともに低調に推移し、7か月連続で前年を下回った。飲食料品も、鮮魚や惣菜などが振るわず、3か月ぶりに前年を下回った。
 5月の新車総販売台数は、前年比0.9%増の3,681台となり、4か月連続で前年を上回った。登録車は、新車投入効果の薄れなどから普通乗用車で伸び悩んだものの、全体では同3.2%増の1,861台と2か月ぶりに前年を上回った。軽自動車は、乗用車およびトラックの落ち込みにより、同1.3%減の1,820台と6か月ぶりに前年を下回った。
 4月の家電販売額は、前年比0.9%減となった。冷蔵庫、洗濯機などの大型家電が増加したものの、パソコンなどの情報機器や携帯電話が振るわず、2か月ぶりに前年を下回った。

衣類・繊維生産額、3か月連続で前年比増加

 5月の生産額は、婦人服を中心に増加し、前年比12.5%増と3か月連続で前年を上回った。
 受注も、夏物から秋冬物への切り替えが進んでおり、3か月連続で前年を上回った。一方、人手不足により受注を制限せざるを得ない状況も一部で発生している。

雇用有効求人倍率は1.51倍、高水準続く

 5月の有効求人倍率は、前月比0.09ポイント低下の1.51倍となった。3か月ぶりに前月を下回ったものの、過去3番目の高水準を維持している。常用の内訳では、一般は前月比0.03ポイント上昇の1.27倍、パートは同0.05ポイント低下の1.36倍となった。
 新規求人数は前年比1.2%増となり、10か月連続で前年を上回った。産業別にみると、製造業は同1.9%減となった。「食料品」、「電気機械器具」で増加したものの、「電子部品・デバイス・電子回路」、「木材・木製品」などで減少した。非製造業は同1.6%増となった。「宿泊,飲食サービス」で大口の求人が一服し減少したものの、公共工事の受注が好調な「建設」や人手不足が続く「運輸,郵便」、「サービス」などで増加した。
 新規求職者数は前年比0.4%減と、2か月ぶりに前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比12.0%減となり、3か月ぶりに前年を下回った。
 地域別雇用状況(パートを含む常用)をみると、新規求人数は県央で減少したものの、県北、県南で増加した。有効求人倍率は県北が最も高く1.50倍、県南が1.27倍、県央が1.24倍となった。

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