機関誌「あきた経済」
県内経済(2月号)
県内経済は、持ち直しの動きが続いている
電子部品の生産は前年を下回ったが、機械金属は前年比増加に転じたほか、木材も持ち直しの動きが続いている。建設は、住宅着工が前年を下回ったが、公共工事は底堅く推移している。個人消費は弱いながらも持ち直しの動きとなっている。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種で人手不足感の強い状況が続いている。
産業別の動向では、電子部品の生産額は、前年の為替円安の影響で8か月ぶりに前年を下回ったものの、車載向け、スマートフォン向けともに好調を維持している。機械金属の生産額は、輸送機械で無資格検査問題により一部生産が停止した国内向け自動車部品が回復し、2か月ぶりに前年を上回った。木材は普通合板(11月)が生産量、出荷量ともに8か月連続で前年を上回った。公共工事請負額は3か月ぶりに減少したが、年度累計では前年度を上回り、底堅く推移している。地元大手(12社)の建設受注額は官公庁工事、民間工事ともに振るわず、3か月ぶりに減少した。住宅着工は貸家が大幅に減少し、3か月ぶりに前年を下回った。個人消費は、大型小売店販売額(11月)が12か月連続で前年を下回ったものの、新車販売台数および家電販売額(11月)が前年を上回り、全体として弱いながらも持ち直しの動きとなっている。
有効求人倍率は前月と同水準の1.44倍であった。新規求人数は前年比11.9%増となり、5か月連続で増加した。事業主都合離職者数は3か月連続で前年を下回った。
企業倒産件数は5件、負債総額は2億6,700万円であった。
生産額、8か月ぶりに前年実績を下回る
12月の生産額は前年比1.5%減と8か月ぶりに前年実績を下回った。平成28年12月は為替円安の影響等で生産高が一時的に増加したため前年比は若干の減少となったものの、車載向け、スマートフォン向けとも好調を維持しており、生産額としては依然高水準で推移している。セラミック・コンデンサやインダクタ、液晶パネルも堅調に推移している。
なお、10-12月期は前年同期比2.7%、平成29年通年では同2.9%、それぞれ増加した。
生産額、前年比増加に転ずる
12月の生産額は前年比2.0%増と2か月ぶりに前年比増加に転じた。ウエイトの高い輸送機械において、前月に無資格検査問題により一部生産が停止した国内向け自動車部品が回復し、好調な北米向けとともに生産高は増加した。
輸送機械以外の民需関連では、金型は低調な生産が続いているものの、製鋼品と建機部品は堅調に推移している。公共工事関連では、橋梁・鉄骨は減少傾向にあるが、水道部品は依然として増勢が続いている。
なお、10-12月期は前年同期比1.2%、平成29年通年では同9.7%、それぞれ増加した。
普通合板の堅調と製材品の低調続く
全国的には、新設住宅着工件数が一服感を強めているものの、リフォーム需要や非住宅需要も加わって、普通合板、製材品とも生産量、出荷量は前年比プラスを維持しているが、県内では依然として製材品が低調な推移にとどまっている。
11月の普通合板は、生産量が前年比23.4%増、出荷量も同23.3%増と、ともに8か月連続で前年実績を上回り、伸び率も8月以降4か月連続で二桁台が続いている。在庫量も、同24.8%増と5か月連続で前年比増加した。
12月の製材品は、生産量が前年比16.7%減と13か月連続、出荷量も同20.0%減と12か月連続で、前年実績を下回った。
出荷量、2か月連続で前年比減少
12月の清酒出荷量は、前年比4.0%減と2か月連続で前年を下回った。出荷先別では、県内向けは同3.7%減、県外向けも同4.2%減と、ともに減少した。県外の主な出荷先別では、東京が同4.9%減、東北5県は同8.1%減、北海道も同8.4%減となった。清酒の種類別では、特定名称酒は同2.4%増と前年を上回ったものの、普通酒が同8.5%減と振るわなかった。
平成29年の年間清酒出荷量は、前年比3.0%減となった。特定名称酒は同2.7%増と7年連続で前年比増加したが、普通酒が同6.6%減と落ち込んだことが響いた。
県内向け出荷量 | 1,061kl |
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県外向け出荷量 | 2,073kl |
合計出荷量前年比 | ▲4.0% |
公共工事 県、市町村が減少し、3か月ぶりに前年比減少
12月の公共工事請負金額は、国が増加したものの、県、市町村が減少し、前年比28.0%減と3か月ぶりに前年を下回った。ただし、年度累計では前年同期比6.1%増とプラスを維持した。
一方、当研究所調査による地元大手12社の12月の新規受注額も、前年比32.8%減の522百万円と3か月ぶりに前年を下回った。目立った大口受注もなく、民間工事は同25.1%減、官公庁工事は同41.0%減と、ともに前年比二桁の減少率となった。なお、年度累計の受注実績では前年同期比0.1%増と僅かながら前年を上回っている。
企業倒産、小康状態続く
12月末の県内銀行の預金は、前月末比756億円増加し、前年比でも2.8%増と11か月連続で増加した。貸出金は、前月末比307億円増加し、前年比でも1.6%増と引き続き前年を上回って推移している。
12月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は5件(前年比1件減)、負債総額は2億6,700万円(同77.7%減)となった。倒産件数は平成24年11月以降62か月連続一桁台で推移しており、小康状態が続いている。平成29年の年間倒産件数は55件(前年比1件減)、負債総額は57億8,100万円(同37.6%減)と平成年代では最少額となった。
着工戸数、3か月ぶりに前年比減少
12月の県内新設住宅着工戸数は、273戸(前年比31戸減、10.2%減)であった。持家と分譲住宅は増加したものの、貸家が大幅に減少し、3か月ぶりに前年を下回った。
利用関係別では、持家が151戸(前年比24戸増)、貸家が85戸(同63戸減)、分譲住宅が36戸(同8戸増)、給与住宅が1戸(同横這い)となっている。
平成29年の年間県内新設住宅着工戸数は、4,071戸(前年比113戸減、2.7%減)となり、3年ぶりに前年を下回った。
利用関係別では、持家(2,582戸)は需要が伸び悩み、3年ぶりに前年を下回った。貸家(1,075戸)も相続税対策としての需要が一服し、5年ぶりに前年を下回った。分譲住宅(377戸)は前年のようなマンション着工こそなかったものの小規模戸建の着工が増加し、前年比横這いとなった。
弱いながらも持ち直しの動き
大型小売店販売額が12か月連続で前年を下回ったものの、新車販売台数および家電販売額が前年を上回り、全体としては弱いながらも持ち直しの動きとなっている。
11月の大型小売店販売額は、前年比2.8%減となった。衣料品は、紳士服・婦人服ともに低調に推移し、2か月連続で前年を下回ったほか、飲食料品も青果、鮮魚、総菜などの不振から、12か月連続で前年を下回った。
12月の新車販売台数は、前年比2.2%増となり、2か月ぶりに前年を上回った。登録車は、無資格者による完成検査問題を受け、出荷停止等の影響により小型車を中心に伸び悩み、前年比5.4%減と2か月連続で前年を下回った。軽自動車は、乗用車、バン、トラックともに増加し、同11.7%増と3か月ぶりに前年を上回った。
11月の家電販売は、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電が増加したほか、パソコンやスマートフォンなどの情報通信機器にも動きがみられ、前年を上回った。
生産額、9か月連続の前年比減少
12月の生産額は前年比10.4%減となった。前月に比べ減少幅は縮小したものの、冬物の追加生産が減少し、9か月連続で前年を下回った。
受注も、春物への切り替えが進んでいるものの、アイテムによりばらつきもみられ、4か月連続で前年を下回った。
有効求人倍率は1.44倍、高水準続く
12月の有効求人倍率は、過去最高となった前月と同水準の1.44倍であった。1倍台は36か月連続となり高水準が続いている。常用の内訳では、一般は前月比0.05ポイント上昇の1.34倍、パートは同0.01ポイント低下の1.62倍となった。
新規求人数は前年比11.9%増となり、5か月連続で前年を上回った。産業別にみると、製造業は同34.7%増となった。「情報通信機械」で減少したが、「電気機械器具」、「電子部品・デバイス・電子回路」で大幅に増加したほか、「食料品」、「繊維」などでも二桁の増加率となった。非製造業は同9.5%増となった。「生活関連サービス,娯楽」では、県内外で美容室を展開する企業から多数の求人があり大幅に増加したほか、「建設」、「運輸,郵便」などでも二桁の増加率となった。
新規求職者数は前年比1.7%増と、4か月ぶりに前年を上回った。
事業主都合離職者数は、前年比18.5%減となり、3か月連続で前年を下回った。
地域別雇用状況(パートを含む常用)をみると、新規求人数は県北で二桁の増加率となったほか、県央、県南でも増加した。有効求人倍率は県北が最も高く1.62倍、県南が1.40倍、県央は1.37倍となった。