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県内経済(11月号)

概況県内経済は、持ち直しの動きが続いている

 電子部品、機械金属の生産は堅調に推移しているほか、木材も持ち直しの動きが続いている。建設は、住宅着工が弱含みの動きとなっているが、公共工事は底堅く推移している。個人消費は持ち直しの動きが足踏みしている。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種で人手不足感の強い状況が続いている。

 産業別の動向では、電子部品の生産額は、車載向けの増勢が続いているほか、スマートフォン向けの受注も増加し、5か月連続で前年を上回った。機械金属の生産額は、公共工事関連で一進一退の動きが続いているが、輸送機械で大幅に増加し、17か月連続で前年を上回った。木材は普通合板(8月)が生産量、出荷量ともに5か月連続で前年を上回った。公共工事請負額は2か月連続で減少し、年度累計でも前年度比1.1%減と減少に転じた。地元大手(12社)の建設受注額は、官公庁工事が振るわず、2か月ぶりに減少した。住宅着工は弱含みの動きとなっている。個人消費は、新車販売台数が7か月連続で前年を上回ったものの、大型小売店販売額が低調に推移しているほか、家電販売額(8月)も前年を下回り、全体として持ち直しの動きが足踏みしている。
 有効求人倍率は前月比0.03ポイント上昇し1.37倍となった。新規求人数は前年比6.9%増となり、2か月連続で増加した。事業主都合離職者数は3か月連続で前年を上回った。
 企業倒産件数は4件、負債総額は7億2,100万円であった。

電子部品車載向け好調保つ

 9月の生産額は前年比4.3%増と5か月連続で前年実績を上回った。電装化が進む車載向けの増勢が続いているほか、北米大手スマートフォンメーカーの新モデル向けの受注などもあり、引き続き高めの生産水準を保っている。
 主力のセラミック・コンデンサや、インダクタでは前月対比ほぼ横這いとなっているが、車載向けの半導体素子は増加傾向が続いている。また、産業機器向けの液晶パネルでも需要の増加を受け、持ち直している。

機械金属生産額、前月対比大きく持ち直し

 9月の生産額は前年比1.2%増と17か月連続で前年実績を上回り、前月対比でも大きく持ち直した。
 橋梁・鉄骨や水道部品などの公共工事関連では一進一退の動きが続いているものの、ウエイトの高い輸送機械が前の月に夏季休業の影響などから稼働率の低下で落ち込んだ生産の挽回により大幅に増加した。輸送機械以外の民需関連でも、製鋼品や金型で増加傾向が続いているほか、建機部品も海外需要が旺盛で好調に推移している。なお、7-9月期は前年同期比5.1%、平成29年度上半期は同9.4%、それぞれ増加した。

木材業普通合板は堅調だが製材品は低調推移

 全国的には、やや盛り上がりが弱いながらも秋需が動き出し、普通合板の生産量、出荷量は堅調を持続、製材品の生産量、出荷量にも持ち直しの動きがみられるが、県内では依然として製材品の低調推移が続いている。
 8月の普通合板は、生産量が前年比15.3%増、出荷量も同12.6%増と、ともに5か月連続で前年実績を上回り、伸び率も前月より拡大した。在庫量も、同13.2%増と2か月連続で増加した。
 9月の製材品は、生産量が前年比16.0%減と10か月連続、出荷量も同19.2%減と9か月連続で、前年実績を下回った。

酒造業出荷量、4か月連続で前年比減少

 9月の清酒出荷量は、前年比2.1%減と4か月連続で前年を下回った。出荷先別では、県内向けは同8.9%増と増えたが、県外向けが同6.8%減と振るわなかった。県外の主な出荷先別では、東京が同9.5%減、東北5県は同10.7%減、北海道も同2.1%減と、いずれも前年を下回った。
 清酒の種類別では、特定名称酒は前年比11.1%増と大幅に増加し、内訳では、吟醸酒が同16.5%増と二桁の増加率となったほか、純米酒が同6.9%増、本醸造酒も同6.6%増となった。一方で、普通酒は同9.3%減と落ち込んだ。

県内向け出荷量 510kl
県外向け出荷量 1,012kl
合計出荷量前年比 -2.1%

建設業公共工事 県、市町村が減少し、2か月連続で前年比減少

 9月の公共工事請負金額は、国等が増加した傍ら県、市町村が減少し、前年比10.7%減と2か月連続で前年を下回った。年度累計でも前年同期比1.1%減と減少に転じた。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の9月の新規受注額も、前年比45.7%減の1,972百万円と2か月ぶりに前年を下回った。うち民間工事は、同0.4%増と前年実績並みを確保したが、官公庁工事は、土木、建築とも前年に比べ大口工事が少なく、同58.8%減と前年実績を大幅に下回った。これにともない、年度累計の受注実績でも、前年同期比6.7%減と前年実績を割り込んだ。

金融企業倒産、小康状態続く

 9月末の県内銀行の預金は、前月末比317億円増加し、前年比でも3.7%の増加となった。貸出金は、前月末比277億円増加し、前年比でも0.7%の増加となった。預金、貸出金とも引き続き前年を上回って推移しており、とりわけ預金の伸び率はこのところ拡大傾向にある。
 9月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は4件(前年比1件増)、負債総額は7億2,100万円(同43.3%増)となった。倒産件数は平成24年11月以降59か月連続一桁台で推移しており、小康状態が続いている。

住宅着工着工戸数、2か月ぶりに前年比減少

 9月の県内新設住宅着工戸数は、270戸(前年比93戸減、25.6%減)と、2か月ぶりに前年を下回った。分譲住宅は増加したものの、主力の持家が減少したほか、貸家も相続税対策としての需要が一服し前年比二桁の減少率となった。
 利用関係別では、持家が204戸(前年比16戸減)、貸家が32戸(同92戸減)、分譲住宅が33戸(同16戸増)、給与住宅が1戸(同1戸減)となっている。
 持家の前年比減少は4か月連続。貸家は秋田市、大館市、仙北市などで民間の一般向け賃貸住宅が大幅に減少したほか、公営住宅の着工も減少し、2か月ぶりに前年を下回った。
 地域別では、県北・県央・県南の全地域で前年を下回った。県央は貸家、県北と県南は持家と貸家の着工が減少した。

商況持ち直しの動きが足踏み

 新車販売台数が7か月連続で前年を上回ったものの、大型小売店販売額が9か月連続で前年を下回ったほか、家電販売も前年を下回り、全体としては持ち直しの動きが足踏みしている。
 8月の大型小売店販売額は、前年比1.2%減となった。衣料品は紳士服・婦人服ともに低調に推移し、飲食料品も精肉、菓子等に動きが見られたものの、鮮魚や惣菜などが振るわず、いずれも9か月連続で前年を下回った。
 9月の新車販売台数は、前年比2.2%増となり、7か月連続で前年を上回った。登録車は、乗用車が好調を維持する一方、貨物車、特殊用途車の落ち込みにより、同3.4%減と2か月ぶりに前年を下回った。軽自動車は、同9.1%増と6か月連続で前年を上回った。
 8月の家電販売は、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電が増加したものの、天候不順の影響により、エアコンなどの季節商品が振るわず、前年を下回った。

衣類・繊維生産額、6か月連続の前年比減少

 9月の生産額は前年比9.7%減となった。秋冬物の生産が時期的にピークを迎えているが、小ロット化傾向にあり、6か月連続で前年を下回った。受注も、小売状況の低迷を受けて、紳士服を中心に追加受注の減少など調整が入り、4か月ぶりに前年を下回った。

雇用有効求人倍率は1.37倍、高水準続く

 9月の有効求人倍率は前月比0.03ポイント上昇し、6月に並ぶ過去最高の1.37倍となり、33か月連続で1倍台と高水準が続いている。常用の内訳では、一般は前月比0.05ポイント上昇の1.24倍、パートは同0.06ポイント上昇の1.57倍となった。
 新規求人数は前年比6.9%増となり、2か月連続で前年を上回った。産業別にみると、製造業は同19.2%増となった。事業所の新設や自動車関連部品の受注増により、「電気機械器具」、「情報通信機械」で大幅に増加したほか、「繊維」でも二桁の増加率となった。非製造業も同5.4%増となった。「生活関連サービス,娯楽」では、県内外で美容室を展開する企業から多数の求人があり大幅に増加したほか、「建設」、「運輸,郵便」でも二桁の増加率となった。
 新規求職者数は前年比9.3%減と、2か月ぶりに前年を下回った。
 事業主都合離職者数は、前年比11.5%増となり、3か月連続で前年を上回った。
 地域別雇用状況(パートを含む常用)をみると、新規求人数は県北、県南で二桁の増加率となったほか、県央でも増加した。有効求人倍率は県北が最も高く1.60倍、県央が1.27倍、県南は1.07倍となった。

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