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経営随想

おかげさまで50年、感謝の気持ちで未来を創造します

佐々木 克巳
(株式会社むつみワールド 代表取締役)
 おかげさまで本年7月に、弊社は創業50年を迎えることができました。これも皆様方からのご支援・ご指導の賜物と心より感謝申し上げます。現在の潟上市天王出戸浜において、過疎化が進む地域に人口を増やし活気を取り戻すため、昭和42年7月に故佐々木吉之助が63歳で現会長夫妻と三人で創業しました。
 創業当初は、出戸浜駅東側の農地を宅地化して、土地分譲の会社としてスタートしました。法人化のため、翌年昭和43年1月27日に有限会社むつみ不動産を設立しました。その後、造成工事と庭の工事を行うむつみ造園土木、むつみ住宅(現むつみ建設)を設立し、不動産だけでなく住宅と庭を備えた街づくりを促進してまいりました。建物単体だけではなく、街並みが付加価値を生み出し、そこに暮らす人たちが誇りに思える街づくりを目指してまいりました。
 新築が主流の我が国の住宅市場ですが、これからは、不動産流通の時代が到来すると読んで、東北で最初に不動産流通チェーンに参加し、総合的なサービスが提供できる土台を作りました。秋田県においても人口減少と空き家の増加で、ようやく市場が追い付いてきたように思われます。新築住宅においても、安心・安全を求めるお客様の要望が増えてきております。
 弊社では、思わしくない室内環境で体調を悪化させたお客様や、お子様をお持ちのお客様から支持していただいております『炭の家』を提供しております。施主様はご家族が幸せな暮らしを営むために、住宅を求められております。しかし、価格や見た目や便利さ、流行などで建物を選択されているお客様が多いのも、私たち業界人の至らなさだと思います。業界のプロとして、今だけの使い勝手ではなく、メンテナンス性や将来の加齢、家族構成の変化も考慮した提案が求められます。
 また、いずれは自分の家を子供さんや第三者が使うことになります。その時に、誰もが使いやすい間取りと、デザイン、色彩であることも社会の資産としての大切な価値だと考えます。建物の価値が下がらずに風合いを増していく、その様な魅力ある建物があふれる街並みは、きっと子供たちにも地域に対する誇りを醸成していくものと考えます。
 現在、寺内小学校の向かいに秋田杉を活用した、自然素材の街並みを提案しております。今はモデルハウスと注文住宅合計三棟の建物で雰囲気を味わっていただけます。是非一度ご覧ください。
 秋田市は現在、コンパクトシティ化を促進するために、「秋田市立地適正化計画」を立案しております。これは、現在の市街化区域内に更にコンパクト化したエリアを設定し、そこに居住誘導していくものです。昨今、高齢者等の運転ミスによる不幸な事故が起こっています。買い物や病院への通院の為に、車がどうしても必要な現状を鑑みると、今の状況のままで免許証を返納していただくことは困難です。その為に、現在の街づくりの核となるエリアを公共交通で結び、車を運転しなくても良い街づくりを描いているものです。
 実際には、ウーバー社などの配車サービスや自動運転車の普及等技術革新や規制緩和による変革の波が、既存の概念をはるかに凌駕する将来像を具現化することにもなりそうです。高齢化が「順調に」進んでいる秋田は、日本一であるだけではなく世界一の最先端モデル都市になり得ます。つまり、世界中のどこにもまねができるモデルケースは無いのですから、秋田がどのような街でありたいのかを、若者たちも一緒に具体的なイメージを描く必要があると思います。国が示す補助金や制度の後追いではなく、最先端ならではの取り組みを子供たちと一緒に考え、カラーを描き地元で具現化するプレーヤーになる若者が増えてくると思います。
 秋田市であれば、地域の小中高校生の代表が毎年街づくり委員会に参加し、具体的な施策に意見を述べそれが取り上げられることで、地元への愛着意識が増すことは間違いないと思います。業界団体や消費者団体など計画満了予定時に、その姿を見ることのできない世代はアドバイザー的な立場で良いと思います。実際に行うとなると、先生たちや行政担当者の負担は大きくなると思いますが、間違いなく自分たちで責任を持てる計画になります。大人として、様々な事象に責任をもって取り組んでいくようにもなると思います。
 次に、エネルギーの問題ですが、再生可能エネルギーの高額買い取り価格の為に、一般の消費者の負担額がこれからますます増えていきます。住宅ローンの支払いのほかに、生活コストが増加していく事を考えると、少子化に歯止めをかけることは難しくなります。その為、住宅の省エネ化が不可欠になります。トリプルガラスサッシの採用や、付加断熱による断熱強化などは、新築時に行うことが一番コストを抑えられます。高耐震・バリアフリー・高断熱は、秋田などの寒冷地と高齢化が進んだ地域における標準仕様と考えて、高品質な社会ストックの為に助成ももっと考慮していただきたいものです。
 中古市場への取り組みに関しては、数年前から実施している住宅診断(ホーム・インスペクション)がさらに重要になってきます。より良い素材を使用し、適正なメンテナンスを施してきた省エネ住宅でも、建物の価値を判断できない不動産会社では、一般の住宅と同じような評価しかできません。また、購入される側の立場で考えてみると、隠された瑕疵などの発見や将来的なメンテナンス費用や時期なども大枠を捉えることができますので安心して将来設計が組めます。
 現在、農業法人を立ち上げて、安心してお子さんに食べていただける食をお届けしております。これは当初、お子さんが急に熱を出して、急きょ帰らなければならなくなるなど、家族第一で行動せざるを得ない奥様をターゲットと考えました。しかし実際には、定年するまでは仕事中心でほとんど地域とのかかわりを持っていないご主人向けと考えております。先日、定年を迎えられた男性が半年ぐらい過ぎたら、奥様が週に三回お弁当を作ってくれるようになったそうです。それは、週三回は家から出てどこかに行ってほしいという事だそうです。その時に、他の男性は「弁当作ってくれるだけましだ!」と言っていました。決して他人ごとではありません。今まで家族や地域の為に頑張ってくれていたお父さんが、もっと幸せや生きがいを感じられる場所を作っていきたいのです。
 その手法として、食料とエネルギーの自立があると考えています。食料に関しては、生産者が見える関係を大切にして、地産地消(笑)の輪ができると思います。エネルギーに関しては、発祥の地である潟上市において、スマートグリッド(次世代送電網)の街づくりを行っていき、エネルギーの輸入によるお金の域外流出を防いで、地域内の循環を活発化させていきたいと思います。そのように考えると、本業が何業かわからなくなりますが、本業は地域の不便を解消していくことと考えています。
 その結果としてお客様の大切な資産であり、また、社会の資産でもある不動産の価値を守り・高め、育てていくことを通して地域と共にこれからも歩み続け、次なる50年の第一歩をしっかりと踏み出していきたいと考えております。

(会 社 概 要)

1 会社名 株式会社むつみワールド
2 代表者 代表取締役 佐々木 克巳
3 所在地 秋田県秋田市八橋本町三丁目18-33
4 電話番号 018-863-5050
5 FAX 018-863-5333
6 URL http://www.mutumi-w.co.jp
7 設立年月日 昭和43年1月27日
8 資本金 5,000万円
9 年商 15億5,500万円(平成29年1月期)
10 従業員 51名(パート含む)
11 事業内容 建築設計・施工・リフォーム、不動産売買・管理・賃貸仲介、相続相談 損害保険・生命保険等
12 経営理念 むつみ合う家づくり、街づくりを通じて社会資産の創造に貢献し、社員の物心両面の幸せを追求します
13 社是 拓魂
14 特徴 1軒の住宅に1トンの竹炭を使用し、家の中を綺麗な空気で浄化するシステムで、健康に良い住環境を提供しております
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