トップ機関誌「あきた経済」トップ県内経済(10月号)

機関誌「あきた経済」

県内経済(10月号)

概況県内経済は、持ち直しの動きが続いている

 機械金属の生産は堅調に推移しているほか、電子部品、木材も持ち直しの動きが続いている。建設は、住宅着工が前年を上回ったほか、公共工事も堅調に推移している。個人消費は弱いながらも持ち直しの動きとなっている。雇用情勢は改善基調にあるが、一部業種で人手不足感の強い状況が続いている。

 産業別の動向では、電子部品の生産額は、車載向けの増勢が続いているほか、スマートフォン向けの受注も増加し、4か月連続で前年を上回った。機械金属の生産額は、16か月連続で前年を上回ったが、輸送機械で北米向け自動車部品の生産の増勢が弱まっている。木材は普通合板(7月)で大手メーカーの工場復旧・再稼働も寄与し、生産が4か月連続で前年を上回った。公共工事請負額は2か月ぶりに減少したものの、年度累計では前年度を上回って推移している。地元大手(12社)の建設受注額は、官公庁工事が好伸し、2か月ぶりに増加した。住宅着工は3か月ぶりに前年を上回った。個人消費は、大型小売店販売額が低調に推移しているものの、新車販売台数が6か月連続で前年を上回ったほか、家電販売額(7月)も前年を上回り、全体として弱いながらも持ち直しの動きとなっている。

 有効求人倍率は前月と同水準の1.34倍であった。新規求人数は前年比20.9%増となり、2か月ぶりに増加した。事業主都合離職者数は2か月連続で前年を上回った。
 企業倒産件数は2件、負債総額は1億7,700万円であった。倒産件数は平成24年11月以降、一桁台での推移が続いている。

電子部品高水準保つ

 8月の生産額は前年比15.8%増と4か月連続で前年実績を上回った。電装化が進む車載向けの増勢が続いているほか、北米大手スマートフォンメーカーの新モデル向けの受注の増加などから、前月に引き続き、高い生産水準を保った。
 主力のセラミック・コンデンサや、インダクタでは幾分生産水準を引き上げているほか、車載向けの半導体素子も増加傾向が続いている。また、医療用や放送用モニタなどの産業機器向けを中心とするハイエンドの液晶パネルでも、一頃まで減少傾向が続いていたが、このところ持ち直しの動きがみられている。

機械金属生産額、前月対比大きく落ち込む

 8月の生産額は前年比4.9%増と16か月連続で前年実績を上回ったものの、前月対比では夏季休業の影響などもあって稼働率が低下し大きく落ち込んだ。
 ウエイトの高い輸送機械では、北米向け自動車部品の生産の増勢が弱まったほか、国内向けも新型車効果が一巡し横這い圏内の動きとなった。一方、輸送機械以外の民需関連では、製鋼品が増加に転じたほか、金型も設備投資の持ち直し傾向を受け増勢を継続している。建機部品も引き続き堅調に推移している。また、公共工事関連では、橋梁・鉄鋼は一進一退の動きながら、水道部品はこのところ持ち直している。

木材業普通合板は堅調も、製材品は低調続く

 全国的には、新設住宅着工件数に一服感もみられるものの、普通合板の生産量、出荷量は堅調を持続、製材品の生産量、出荷量も秋需を控え前年比増加に転じたが、県内では依然として製材品の低迷が続いている。
 7月の普通合板は、前年に火災で焼失した大手メーカーの工場復旧・再稼働も寄与し、生産量が前年比10.1%増、出荷量も同7.0%増と、ともに4か月連続で前年実績を上回った。在庫量も、同6.5%増と2か月ぶりに増加した。
 8月の製材品は、生産量が前年比16.7%減と9か月連続、出荷量も同16.7%減と8か月連続で、前年実績を下回った。

酒造業出荷量、3か月連続で前年比減少

 8月の清酒出荷量は、前年比1.6%減と3か月連続で前年を下回った。改正酒税法施行による低価格帯商品の価格引き上げの影響が一服したほか、東日本を中心とした長雨、冷夏等天候不順の影響からビール系飲料の需要が減退したことなども寄与し、減少幅は前月よりも縮小した。出荷先別では、県内向けは同1.2%増となったが、県外向けが同3.3%減と振るわなかった。県外の主な出荷先別では、北海道が同0.2%増、東京も同0.1%増となったが、東北5県が同0.8%減、その他も同10.2%減と落ち込んだ。種類別では、特定名称酒は同5.2%増と伸びたが、普通酒が同6.3%減と減少した。

県内向け出荷量 524kl
県外向け出荷量 837kl
合計出荷量前年比 △1.6%

建設業公共工事 国、県が減少し、2か月ぶりに前年比減少

 8月の公共工事請負金額は、市町村等が増加した傍ら国、県が減少し、前年比11.8%減と2か月ぶりに減少したが、年度累計では前年同期比1.0%増とプラスを維持した。
 一方、当研究所調査による地元大手12社の8月の新規受注額は、前年比28.6%増の2,452百万円と2か月ぶりに前年を上回った。うち民間工事は、同0.4%減と前年実績を僅かに下回ったが、官公庁工事は、公営住宅や保育施設建設などの大口受注があり、同50.2%増と前年実績を大幅に上回った。なお、年度累計の受注実績でも、前年同期比3.6%増と前年実績を上回っている。

金融貸出金、前年比増加率の鈍化続く

 8月末の県内銀行の預金は、前月末比9億円減少したが、前年比では2.2%の増加となった。貸出金は、前月末比45億円増加し、前年比でも1.3%の増加となった。預金、貸出金とも引き続き前年を上回って推移しているものの、貸出金の伸び率は鈍化傾向にある。
 8月の倒産件数(負債総額1千万円以上)は2件(前年比2件減)、負債総額は1億7,700万円(同75.9%減)となった。倒産件数は平成24年11月以降58か月連続一桁台の推移と小康状態が続き、負債総額も前年同月対比で大幅減となった。

住宅着工着工戸数、3か月ぶりに前年比増加

 8月の県内新設住宅着工戸数は、438戸(前年比28戸増、6.8%増)であった。持家と分譲住宅は減少したものの、貸家が大幅に増加し、3か月ぶりに前年を上回った。 
 利用関係別では、持家が234戸(前年比35戸減)、貸家が180戸(同118戸増)、分譲住宅が23戸(同55戸減)、給与住宅が1戸(同横這い)となっている。
 持家の前年比減少は3か月連続。貸家は秋田市、大館市、横手市などで民間の賃貸住宅が大幅に増加したほか、小坂町などで公営住宅の着工もあり、3か月ぶりに前年を上回った。分譲住宅は前年同月にマンション着工(55戸)があったため、減少した。
 地域別では、持家と分譲住宅の着工が減少した県央のみが、前年を下回った。県北は貸家、県南は貸家と分譲住宅の着工が増加し、前年を上回った。

商況弱いながらも持ち直しの動き

 大型小売店販売額が8か月連続で前年を下回ったものの、新車販売台数が6か月連続で前年を上回ったほか、家電販売も前年を上回り、全体としては弱いながらも持ち直しの動きとなっている。
 7月の大型小売店販売額は、前年比0.8%減となった。衣料品は紳士服を除いて夏物の販売が低調に推移し、飲食料品も中元が堅調だったものの、鮮魚や菓子などが振るわず、いずれも8か月連続で前年を下回った。
 8月の新車販売台数は、前年比8.4%増となり、6か月連続で前年を上回った。登録車は、ハイブリッド車などエコカーの好調により、同8.5%増と2か月ぶりに前年を上回った。軽自動車は、同8.2%増と5か月連続で前年を上回った。
 7月の家電販売は、パソコンが振るわなかったものの、エアコンなど季節商品が好調だったことに加え、冷蔵庫、洗濯機などの大型家電も増加したことから、2か月ぶりに前年を上回った。

衣類・繊維生産額、5か月連続の前年比減少

 8月の生産額は前年比6.9%減となった。前月に比べ減少幅が拡大し、5か月連続で前年を下回った。
 受注は、婦人服で一部生産調整の動きがみられたものの、全体としては秋冬物の生産が本格化し、堅調に推移したことから、3か月連続で前年を上回った。

雇用有効求人倍率は1.34倍、高水準続く

 8月の有効求人倍率は、前月と同水準の1.34倍となり、32か月連続で1倍台と高水準が続いている。常用の内訳では、一般は前月比0.01ポイント上昇の1.19倍、パートは同0.10ポイント上昇の1.51倍となった。
 新規求人数は前年比20.9%増となり、2か月ぶりに前年を上回った。産業別にみると、製造業は同34.7%増となった。企業の採用意欲が高まり、「情報通信機械」、「電子部品・デバイス・電子回路」で大幅に増加したほか、「電気機械器具」、「繊維」などでも二桁の増加率となった。非製造業も同19.3%増となった。「宿泊,飲食サービス」では、居酒屋チェーンからの求人があり大幅に増加したほか、「運輸、郵便」、「情報通信」などでも二桁の増加率となった。
 新規求職者数は前年比1.3%増と、49か月ぶりに前年を上回った。
 事業主都合離職者数は、前年比42.6%増となり、2か月連続で前年を上回った。
 地域別雇用状況(パートを含む常用)をみると、新規求人数は県央、県南で二桁の増加率となったほか、県北でも増加した。有効求人倍率は県北が最も高く1.53倍、県南が1.27倍、県央は1.21倍となった。

あきた経済

刊行物

お問い合わせ先
〒010-8655
 秋田市山王3丁目2番1号
 秋田銀行本店内
 TEL:018-863-5561
 FAX:018-863-5580
 MAIL:info@akitakeizai.or.jp